• RYUICHI MOTOHASHI

「世情」にみる「非常識」な時代・・・

2019/10/22日本経済新聞 『非常識の時代』より

少し前の大機小機コーナーに、歌手中島みゆきさんの代表作「世情」という歌が・・・

と始まる記事がありました。


そもそも「世の中のありさま」を表すこの「世情」。最近の経済がかつて私たちが信じてきた「常識」や「あたり前」が全く通用しないほど変化している例として引き合いに出されていました。


まず金利お金を借りたら利子を付けて返すのがこれまでの常識が、昨今は利回りが0%の社債が登場、トヨタファイナンスは利回りゼロの3年モノの社債を発行します。しかし蛇口をひねればお金が出てくるようなカネ余りの状態で、このまま企業財務の規律が緩みっぱなしの状況では少し怖いです。


第二に物価「物価は経済状態を計る体温計」というのがこれまでの常識。日銀も物価2%を目標に掲げるも、なかなか達成できないどころか、現在のようにほぼ完全雇用の状態でもなかなか物価は上がらず、そんなに悪くないと云われる経済の体温計としていて本当に良いのかという声もあがっています。

今週の紙面には家電量販店の「ダイナミックプライシング」がありますが、AIやITによって他社の価格や需給状態を考えながら刻一刻と値段を変えていく戦略の対象としての「物価」は、一体何だろうというそもそも論もあります。

※これは合理的な水準としての企業価値とそこを大きくブレる株価にも近い感じがしなくもありません。


そして資本市場株式市場は「企業が資金調達を行う場」という常識は少し古くなりつつあります。最近は企業が自社株買いを行い、投資家にお金を返す市場に変わってしまったのは先日のコラムの通り。今や(2018年は)世界の上場企業の自社株買いは調達額を約70兆円以上も上回っています。この資金調達の世情は、企業は上場前にベンチャーキャピタルや投資家から成長資金を十分過ぎるくらい調達できるため、上場前に急成長しパンパンになった風船状態で上場し、後はお金を返すというもの。この新しい市場メカニズムでは、大きな売却益を得るのは上場前に資金を出したファンドとタニマチ投資家だけで、「公の場」としての資本市場の意義はどんどん薄れつつあるとのコメント。


最後は投資指標・概念。最近の世情のESG(環境・社会・企業統治)企業会計・財務と連携すれば、いずれ新しい企業の営利活動の概念が変わるかもしれないと記事は締められています。


世の中の変化が刻一刻と激しくなり、変化の時間軸もますます早く感じられる今の「世情」において、いつまでも変わりたくないという古い価値観では、時代において行かれてしまうことを示唆していると受け止めました。


※因みに中島みゆきさんの「世情」の歌詞は安保闘争のシュプレヒコールの中に変わらない夢を見たがる人を謳ったもののようです。為念。

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