2019/09/25日本経済新聞 『堅調地価 潜む不安』より
2019年の基準地価は2年連続上昇。地方商業地も28年ぶりにプラスとなりました。全面的な地価の上昇は超低金利や訪日客の増加が原因しているとされていますが、開発現場や投資対象という点からは持続性に不安要素が垣間見れるとあります。
「第一希望は東京のオフィス、無ければホテルで100億円くらいの物件が、、それでもなければ他の都市でも投資したい」と香港の投資ファンドの日本での投資希望の目線にその過熱ぶりを感じます。
国土交通省発表の19年7月1日時点の基準地価は東京23区の商業地は前年比8.4%上昇(18年の同7.2%を上回る伸び)となり、再開発や東京五輪をきっかけに世界中の資金を引き寄せているようですが、新たな投資先は「品薄状態」になっています。既に東京以外での投資先を探す動きは活発になっており、ヒューリックリートの運用会社はオフィスでは東京23区を主要エリアとする従来基準を、横浜・千葉など近郊政令指定都市まで広げたようです。
東京(大手町)では物件価格の高騰からオフィスの期待利回りが3.35%と過去最低を更新。超低金利の中ではまだ魅力的ですが、同5%程度の札幌・仙台、福岡に比べると魅力は薄れています。J-REIT全体で見ても、19年4-6月期の地方都市への投資割合は29%となり、18年通期の22%を大きく上回ってきています。
札幌・仙台および福岡の商業地の基準地価の上昇率はいずれも10%を超えていますが、地方都市での地価上昇の広がりはまだ限られています。秋田・福井・徳島など26県では商業地の下落が継続しており、このうち9県では県庁所在地でも前年を下回ったとあります。
多くの都市では依然人口減が続いており、訪日客の増加や大規模開発も見込めないのが現状です。既に投資マネーの流入が地価上昇を押し上げている東京と、地価回復の広がりを欠く地方と、どちらかに活路を求めるかによって、大手不動産の戦略も分かれてきます。住友不動産の開発の主軸は東京。「圧倒的なオフィスの集積と人口流入が続いており、引き続き東京都心部に強気」、一方で野村不動産HDは、地方都市の再開発に目を向けており、「新幹線停車駅を中心に拡大戦略を」と、群馬県高崎、静岡県三島で計画を進めているようです。この目算は「札幌・福岡のような大都市でなくても、交通の便という強みがあれば商機は十分」としています。
記事の最後には26年間続いた基準地価の下落後、19年には2年連続で上昇という復調ぶりでも、その持続力には確信が持てないからこそ、戦略に工夫を凝らしていることが窺えます。
週末は仕事で大阪に行っていましたが、外国人や観光客で人・人・人で繁華街は混雑の一方、土日のオフィス街は商業施設でも以外にも人が少なく、同じ都市部でも場所によって全く雰囲気が異なっていました。新しいホテルも次々建設されていますが、やはりまだまだ不足している印象もあります。
やはりどんな事でも、いろいろな地で自分の眼で確かめるのが一番です。
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