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レッドオーシャンでも成功できるヒントは… 専門性×顧客体験

2019/09/12日本経済新聞『「赤い海」で生存領域つかめ』より


企業面の「ヒットのクスリ」コーナーより。シューズ市場における新興オンというスイス発のスポーツシューズメーカーについてのトピックです。長時間の運動に耐えられる軽量さと脱ぎ履きのし易さという点から、最近注目されているようですが、トライアスロン選手の3人が自らの競技経験から「長距離でも痛みなく走る」ことをテーマに開発し、2010年に創業、10年弱ですが日本の大手スポーツ店で一角を占めているようです。クッションと反発を両立するシューズはあまりなく特許も取得、プロ仕様ながら普段でも履けることも狙いデザインにもこだわっています。確かにデザインがとってもクール!


シューズと言えば多くの巨大メーカーがひしめくレッドオーシャン(競争がとても激しい市場)と言われ、価格競争に巻き込まれる非常に厳しいプロダクトですが、このオンは見事にスポーツ用品コーナーの一角を抑え、「赤い海」でも独自の領域を確保しているとあります。この小さなスイスのシューズメーカーの成長には2つのポイントがあると紹介され、1つは、「成熟市場ではプロの経験や技が生きてくる」という点。トライアスロン選手でもある創業者が、こういう機能を実装したいというアイデアが製品に生かされています。そしてもう1つは「意味の提供」だという点。紙面ではフリーライターの山口氏の「スイスの腕時計の復活の理由を『意味づくり』だ」と説明しています。スイスの時計メーカーは日本企業の攻撃で駆逐されてしまいましたが、タグ・ホイヤーはモータースポーツと関連付け、ロレックスは海洋や山での冒険(エクスプローラー)を象徴するブランドになったとあります。記事の最後に、商品の多くは既に広く普及しており、参入できる分野は一段と狭くなっています。しかし、このスイスの新興シューズメーカー:オンの日本での小さな成功ストーリーは、成熟したレッドオーシャンでも、経験を活かした専門家としての工夫と改善、そししてお客さまに敢えて選んでもらえる意味づけに着目すれば、まだまだビジネスの差別化の大きなチャンスは残されているのかもと思います。


私が勤めたスイスのプライベートバンクでも、顧客体験(クライアントエクスペリエンス)というのが相言葉でした...


スイスのシューズメーカー:オンはこちら


ヒットのクスリ(前回):アイリスオーヤマはこちら

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