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新市場を創れるか…債券型ETF

2019/09/05日本経済新聞『債券ETF市場が拡大』より


世界的に超低金利(若しくはマイナス金利)が常態化する中で、債券というアセットについてのイイ話題。債券に投資するETFの市場が拡大しており、昨今の低金利が続く中、利回りが取れる社債等の需要が急増しています。市場でいつでも売買できる「ETF」の特徴を活用し、米大手運用会社(ブラックロック・バンガードなど)が新商品を投入しています。その資産規模は19年6月末で1兆ドル(約106兆円)を超える規模になったとあります。


ブラックロックは7月に、iシェアーズユーロハイイールドコープボンド・スイスフランヘッジ(低格付けで利回りが高い欧州のハイイールド社債に投資するETF)など5本を設定。

バンガードも6月バンガードグローバルアグリゲートボンド・ユーロヘッジ(世界の国債・社債を組み入れるETF)など5本を設定しています。この背景には世界的な低金利が続き、これまでは先進国国債を中心に投資をしていた投資家が、比較的高い利回りを取れる社債にETFを通じて投資していることが挙げられます。市場で価格がついて、いつでも売買が自由な株式とは違い、投資家と証券会社との相対取引が中心の債券は提示価格が各証券会社によって異なる等、独特な取引慣行があります


ETFは様々な指数に連動させることができ、かつ上場している投資信託でもあるので、市場で誰でも、比較的少額で、明示された取引価格で、売買することが出来ます。この特性から、ポートフォリオに債券を組み入れたい投資家にとっては取り組み易く、市場規模も広がってきているようです。


米大手ブラックロックによると、世界の債券型ETFの市場規模は19年6月末で1兆500億ドル、15年末の4900億ドルからほぼ2倍強。株式市場全体の規模(約80兆ドル)に対する株式型ETFは4兆3500億ドル、一方、債券市場全体(約100兆ドル)に対する債券系ETFは約1兆ドルと、まだまだ拡大余地が大きいとみています。


リーマンショック以降、証券会社が価格変動リスクのある「債券」という資産の保有を制限され、相対での売買がしにくくなった債券市場の構造変化や、米国では著名投資家が運用助言を行う債券ETFは個人の長期資産形成のツールとして人気があります。まだ日本では、米国に比べると債券型ETFの投資対象は非常に少なく、これからの新商品開発や市場の拡大が期待されます。


個人的には、昨今の超低金利が続く中、ポートフォリオの一部に債券を使って分散投資を行う効果は低くなってきている(リターンが低くなっているだけではなく、資産間での動きが同一方向に動きやすいという意味です)と思います。しかしそれほど高くない期待利回りや、経済危機時のクッションとしての役割としては、活用の機会があってもいいかと。


ここはお客さま皆さまで、それぞれお考えが違いますから難しいところです。

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