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大切なのは高配当より連続増配

2019/07/10 日本経済新聞 『高配当株より連続増配』より

世界的な低金利状況が続く中で、投資家の利回り渇望マネーがあらゆる利回り商品に流れています。しかし日本の高配当利回り株だけは少々状況は異なっています。先行き不透明な世界経済情勢から、単に利回りが高いというだけでは投資家からの支持は得られないというのが理由です。その選ばれる条件は、強いビジネスモデルと株主還元に対する意思表示だとあります。


先週7/5の米国雇用統計は比較的良い結果ではあったとは言え、年内に数回の利下げを市場は織り込んでいます。日本でも極めて低金利環境が続くとの見方から、長期金利はマイナス圏で推移し、東証一部の配当利回りとの差は2.2%と過去最高の水準とあります。これは利回りで考えると、債券より株式が割安な状況を示しています。このような局面でありながら、高配当利回り銘柄の過熱感はなく、日経平均高配当株50の配当込みベースでみても、

年初来上昇率は3%程度、8%程度上昇の日経平均株価に劣っています。これは投資家が、

不確実な経済環境に耐えられるビジネスモデルか否かに関心を高めていることに起因しているようです。確かに私も定期的に株式の銘柄スクリーニングをしていますが、相変わらず商社、銀行、化学、石油や素材系企業などの景気敏感株が多めです。こうした銘柄群は(現状の)利回りが高くても、事業環境が悪化して来た時の減配リスクがあると考えられているのです。


しかし、外部環境の変化によらず成長を続けている銘柄には資金は集まっており、この選別ポイントは「連続増配」です。高配当銘柄の中でも10年以上連続増配している企業(三菱Uリース、KDDI等)の株価は堅調で、5月の連休明け以降、日経平均が下落する中でも4-10%程度の上昇をしている銘柄もあります。海外の長期投資家も連続増配銘柄(シスメックス、ニトリHD等)に注目し、買い増しや保有比率を高めています。

こうした企業の真の魅力は、キャッシュ生み出し力が高いことと安定した成長の両側面を持っている手堅さにあります。


業績不安などによる株価低迷によって結果的に「高配当利回り」となった銘柄とは異なり、連続増配企業には株主還元を充実するという経営の意思表示が表れている点が投資家からの評価ポイントです。継続的な事業の成長と連続増配などの株主還元策の充実度を、上手に市場にメッセージとして伝えることができれる企業は、連続高配当銘柄として人気が持続する可能性はあります


米国でも昨今の主要なIT企業群と共に、S&P配当貴族指数に含まれる連続配当銘柄は長らく安定的な人気があります。

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