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執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

20年回顧録:揺れた市況-ゴールド編-


2020/12/23日本経済新聞『20年回顧 揺れた市況』ゴールド編より 2020年に最も注目を浴びた資産と言ってもいいゴールド(金) コロナショックによる経済悪化を食い止めるべく、各国政府は財政・金融政策を拡大。溢れ出た投資マネーは金市場に殺到し、金の価格は11年9カ月ぶりに過去最高を記録。 物理的に人やモノの動きがストップされてしまったコロナ禍ならではの側面も、金取引に大きな影響をもたらした年でした。貴金属業者の市場部長のコメントでも「間違いなく印象に残る一年だった」と振り返っているように、この1年の値動きは激しかったと言えます。 国際指標のNY先物市場では20年の年初に1トロイオンス1500ドル台であった金は、3月に一気に一時1400ドル台へ急落、その後上昇に転じていました。7月下旬、9年前に付けたそれまでの最高値1923ドルを上回ると、8月初めに一気に史上最高値の2089ドルまで急伸しています。その後直近では1850-70ドル台まで下げていますが、これまでに比べて高値圏にあります。


この原動力は異例の規模にまで膨らんだ各国の財政・金融緩和によるもの。コロナで経済が悪化していくことを阻止するため、FRBは3月にはゼロ金利と無制限の量的緩和を行いました。 各国の大規模な資金供給によって、米ドルなどの通貨価値が減少する(紙幣の刷りすぎで通貨の価値が下がってしまう)と考えた投資家が、市場規模が小さい金市場に殺到してきました。特にETFを通じた資金流入は年初来、金の重量換算で1000ドル前後に上り、前例ない水準まで拡大し、金価格を押し上げていきました。 現物で受け渡し決済をする商品市場ならではの影響も重なります。 春先にはコロナで金を加工する精錬所が操業を一時停止、運搬に使っていた航空便も大幅減少。これにより、現物取引が中心であるロンドンから先物取引中心のニューヨークまでの金を運ぶのが滞るという懸念が高まってNY先物が急騰していました。通常は数ドルしかないロンドンの現物とNYの先物の価格差が一時70ドル前後まで広がり、理論的には「あり得ない」プライシングがされていました。 ※これは公募投信のゴールド関連のファンドでも、現物をスイスの銀行の金庫に運べないと、一時買付が停止されていました 年の前半から秋頃まで、コロナへの不安とあるれる緩和マネーによって押し上げられた金価格は、11月以降、ワクチン開発・普及の期待からいったんは下落してきたものの・・・依然、世界の経済回復は早期に期待できるとは言えず、膨張した財政・金融緩和策も当面維持されると思われます。 財政金融緩和の政策によってカネ余り状態でドルなどの通貨価値の下落、超低金利やマイナス金利状況の継続、リスク資産の代表格である株式市場の引き続きの堅調傾向などの、一つ一つの要因を組み合わせていくと、ゴールド(金)を取り巻く環境は、今年の追い風基調が継続しそうな感じを受けてます。 今は1800ドル台半ばで落ち着いた?レンジから、再び2000ドル台まで上昇してい言っても不思議ではないかもしれないと、市場関係者の声も紹介されていました。 20年の金マーケットの回顧録としてはこのような感じになりますが、もう少し気軽に金について見てみたいかたは、こちらをどうぞ

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