2020/04/14日本経済新聞『分散投資が効かない』より 2019年の投資信託市場の最大ヒット商品:日興アセットマネジメントの「グローバル3倍3分法ファンド」の苦境についてのトピックです。
コロナショックの市場波乱によって株式と債券が同時下落、売れ筋不足に悩む投信業界で救世主とまで呼ばれたこの人気ファンドはどうなるか?とあります。
久々の業界最大のヒット商品だっただけに、このファンドの失速=業界全体の失速につながるのがファンド業界で心配されています。
18年10月設定の3倍3分法ファンドの19年の資金流入(2コース合計)は5200億円を超えており、公募投信の中では実質トップだったようです。 本来、リスク抑える設計がバランスファンドのコンセプトの筈なのに、
「殖やすための分散」というコンセプトに違和感はありましたが、実際は運用難に困った
個人投資家の人気を集めていました。
「3倍」というのは、3倍のレバレッジをかけるという意味で、少額の証拠金でポジションを増やせる先物取引を利用しています。
元本の80%を充当する現物は海外先進国株、新興国株、JREIT、海外REITに各20%づつ。先物はTOPIX先物が20%、日米独英豪5か国の国債先物が各40%づつ(40%×5=計200%)で220%。合計で300%(3倍)になる仕組みです。 「3分法」は株、不動産、債券の3資産への分散投資の意味です。株式20%(60/300)、REIT13.3%(40/300)、債券66.7%(200/300)に分けた上での3倍レバレッジで、株式60%、REIT40%、債券200%にまで膨らみます。
株式とREITでリターンを追求し、債券で全体のリスクを抑えることができるという目論見でした。 こうしたレバレッジを活用して、低リスクながらリターンはある程度狙うという商品性は他社も追随し、合計残高は一時1兆円を超え、「レババラ投信」として投信業界での一大商品となっていました。 今年の2月頃まで比較的好調だった運用成績は、新型コロナ感染で世界の金融市場が混乱と同時に急激に悪化。2月下旬から3月19日頃までに基準価額は約37%の下落、同日米株指数の30%程度の下落を上回っています。 この原因として記事では3つの誤算を指摘。 まず誤算①は、株式と債券の逆相関性(逆の値動きをする性質)が効かず、株式・債券の同時下落となったことです。この時期はリスクを過度に怖がった投資家からの現金(米ドル)保有行動が非常に高まり、全資産が投げ売られていました。 誤算②REITの下落が株式以上の大きかったこと。本来株式と債券の間くらいの中間資産ですが、この局面では株式よりも下落が大きく、日米REITは約40%下落でした。 誤算③は資産間の配分比率が固定されていることです。この間、資産間のバランスを柔軟に変化させることができるリスク管理型のバランスファンドはパフォーマンスの大きな悪化を回避できたものもあったようですが、3倍3分法は資産配分比率を変えないタイプであった為、傷が深くなってしまったようです。 こうした変わり種バランスファンドは金融庁の推し進めてきた運動「長期・積立・分散投資」に乗って人気化した一面もあると思われていますが、資産運用業界も、「どうにか売れるコンセプト」無理にバランスファンドを転用し、本来の商品設計とは全く別物に仕立て上げて、おまけに人気化すると他もマネして、このような状況になるという、いつものお約束にしか思えません。 皆さまも本当にこうした商品がご自身の運用資産に必要か否かはきちんと考えて
みてください。 こちらも参考に・・・ ※やはり私にはまったく不要でした。解りきってはいたんですが、体験投資してみました・・・お約束の高い勉強料になりました(泣)
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