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執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

いよいよ怖くなってきた… 膨らむ「低格付け社債」風船

2019/12/01日本経済新聞『低格付け債バブル変調』より


世界中の金融市場で膨らみ続けてきた低格付け債バブルについに変調の兆しが出てきた

あり、過剰債務を抱えた企業の低格付け社債の値下がりを懸念しています。


一時は期待の巨大IPOとも言われたシェアオフィス大手の米ウィーカンパニーの社債は、

元本の約70%まで下落してまま、ソフトバンクGが支援を決めた後でも価格は回復して

いない状況です。このような債務拡大によって積極的な投資をテコに成長してきた企業に

対して、投資家はお金を引き揚げ始めたり、新たなお金の出し手となることに非常に

慎重になってきた兆候が見られます。


他にも英国のラグジュアリースポーツカー:アストンマーチン(映画007の主人公ジェームズ・ボンドの愛車)社の社債価格も、この夏以降10%程度の価格下落のまま、さらに低い格付け企業の社債は、流通市場で額面(100%で償還)の30%-40%程度で推移しているもののあるようです。


特にこうした業績不振で債務超過が拡大している企業の社債は、さらに格付けが下がり、

トリプルC格以下になっている銘柄もあります。

(米国では高格付け・低格付け含めた社債市場がとても大きいので、格付けも高低様々なクラスが存在します)


これまで低金利下でのカネ余りで、こうした(格付けがトリプルB未満の投資不適格の)低格付け社債市場に、運用難の投資マネーが大量に流入しており、市場は急拡大してきました。19年の低格付け債の発行額は11月末で約4400億ドル(約48兆円)と10年で2倍に拡大、過去最高だった17年(4900億ドル)を上回りそうだとも推計されています。


この膨張する市場の主な投資家は保険会社や銀行などの機関投資家(勿論、運用会社による投資信託を通じて高分配を狙った個人マネーも)ですが、もし景気悪化による企業の倒産が相次ぐ事態が来れば、そこから連鎖して世界の金融システムにダメージとなりかねないと

危惧しています。


昨今は低格付けの中でも選別が進んでおり、特に値下がりが目立つのがトリプルC格社債だともあります。このクラスの銘柄群は特に価格下落が際立ち(価格は下落したまま)、リスクが無いと言われる米国債に対する上乗せ利回りは約12%にまで上昇しているようです。


この水準は昨年のクリスマス頃、低格付け債が急激に下落した時付近と同程度に近い印象。


あの時も確かに遂に、、と思いましたが、あれから一年・・・


そろそろバブルに膨れに膨れたハイイールド社債市場は、いよいよ本当に投資すべきか

しないべきかを判断すべき時期かもしれないです。


米国株式市場は様々な懸念がありながらも、最高値を付け楽観的な見方が広がる中で、

社債とは言え、この低格付け社債市場の爆発は怖いですよ。

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