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低金利下での債券投資の意義

2019/11/26日本経済新聞 『低金利下での債券投資』より


夕刊十字路に、世界的な低金利下での債券投資の意義についてのコラムがありました。

このコラムの筆者は債券運用に特化した資産運用会社大手ピムコAPAC運用責任者正直氏

経営者らしく、債券運用業というビジネスを顧客ニーズの変化への対応や社会的意義や存在価値という観点から述べられています。


世界的には低金利が続く環境でも、良好なインカム(利子所得)をもたらす債券がある一方で、資産形成を目指す顧客にはグローバル株式に偏りがちな提案が多くなっているとの指摘です。


確かに株式を重視した資産配分は長期の価格変動リスクをとれる若年層には適していますが、高齢顧客層には向いているとは必ずしも言えません。年金を補うには、より確定的な利子収入を狙える債券がふさわしいとあります。


わが国の家計金融資産は高齢層に偏在しており、70歳以上が約4割を占めているとも言われています。この後もこの比率はさらに高まると想定されます。こうした高齢層に対する、債券投資を通じたインカムの提供は社会的な意義が大きいとしています。

さらに米国債利回りは10年モノで2%を下回っていますが、さらなる金利低下により価格上昇余地も残しているともコメント。


市場リスクが顕在化した時のヘッジ機能が期待できるとあります(この点は全く同感です。以前のリーマンショック時にはあらゆる資産が売買できなくなり、辛うじて米国債だけが売買できた資産でした)。


株式等のリスク資産の投資評価が高いまま、様々なリスク要因が出現すると、今後の資産価格の変動が大きくなることも想定されます。

記事の最後には、低金利が長引く中で、多くの投資家はリスクを取りすぎたポートフォリオになっていないかと注意を呼びかけ、資産配分の際には、各資産の期待リターンだけではなく、リスクシナリオがもたらす資産全体への影響も考えるべきだと、債券ビジネスに関わる方ならではの見方だと思います。


良質なインカムを探し、資産価格の変動が比較的緩やかなどの債券投資はこれからも大切だとは思いますが、従来よりも金利収入は低下しており、従来よりも格付けが低い債券が多く市場に存在する昨今では、為替リスクや信用リスクの管理、さらに経済危機時における流動性(売りたい時にいつでも売ることができるか)リスク等、考慮すべき要因がより複雑になってきていると感じています。


ここが昨今の債券投資の難しさかもと。

私もついつい債券については、及び腰になってしまうので反省です。

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