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割高感ある「金」への投資の意義


2019/11/3日本経済新聞 『マイナス金利で金バブル』より


金価格の割高感が高まりつつあり、その実勢価格は米実質金利などをもとに算出した金の理論価格を15%程度上回る水準まで割高水準に達しているようです。この割高感を助長しているのは、中国・ロシア等の新興国の中央銀行と2003年登場の金ETFの買いによるもの。両者の買いはこの10年で約30兆円に達し、保有時価は過去最高に迫るとあります。

貿易戦争や世界経済の不確実性の高まり、マイナス金利の広がりによって、需給が引き締まり金相場の過熱に繋がっています。


日経新聞によると、金価格は基軸通貨ドルと反対に動く傾向があり、利息を生まない資産のため米国債の利回りが上昇すると売られ低下すると買われる傾向がある特徴から、ドルの総合的強弱を示す米インターコンチネンタル取引所のドル指数と、米国の実質金利を示す物価連動国債の利回りデータから金の理論価格を算出しています。


金の割高感の要因は中央銀行とETF。ワールド・ゴールド・カウンシルによると中央銀行による19年上期の金購入量は、金・ドル兌換廃止以降の最高だった18年を上回るペース、米国債に偏重する外貨準備を是正したい中国の他、ロシア、インド、ポーランドも金を積み増しているようです。さらに米運用会社調査では、32%の中央銀行担当者が今後1年で金購入の意思があるとしています。この中銀は09年までは一貫して金の売り手でしたが、米国債離れの一方、欧州にもマイナス金利が広がり、消去法的に金買いが加速しています。


そしてもう一つの金買いの動きはETFです。2003年に金ETFが登場、それまで金投資が難しかった年金基金、ヘッジファンド等の機関投資家のマネーがETFを通して金に流入するようになりました。世界最大の金ETFは米ステートストリートの「SPDRゴールドシェア」で、金保有量は主要国中央銀行に匹敵するとあります。同社ストラテジストは「長期投資家が戦略的にETFを積み上げている」とコメントしています。


経済の不透明さが高まり投資家の心理悪化は、15兆ドルがマイナス金利状態となっている従来の安全資産:債券を通り越し、利息が無くてもより安全資産である金買いに向かっているようです。昨今の金相場の上昇は経済的基礎条件だけではなく、割高とは思いながらも買い進む中央銀行とETFという買い手によって、金の市場が大きくなっているとあり、マイナス金利下でバブル化を強める金相場がふとしたきっかけで破裂する事態を記事は危惧していました。


確かに「金」という資産単体で考えると、昨今の割高感は否定できないとは思いますが、マイナス金利下にあっての現物としての価値や、何といっても株式・債券等「他の資産との相関性の低さ(異なる方向への値動き)」に着目した資産分散という観点での、投資対象としては、意義のある資産だと思います。


※あくまでもマイナス金利が暫く継続するのが前提です・・・

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