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経営者こそ「投資家」になろう!

2019/10/05日本経済新聞 『「投資家CEO」は悪者か』より


Deep Insightのコーナーより。日本株のマーケットが独歩安を続けている原因の象徴として、今さらながら「昭和」を引きずっているかのような関西電力の不祥事(多額の金品を受け取り、悪しき慣習に目をつぶりながらも踏襲するという信じがたい!)を挙げています。グローバルな投資家の間では、「日本の企業は本当に変われるのか」という疑念が燻り続けます。これを象徴しているのは、日本の株価と主要先進国(G7)の株価を9月末までの過去1年間で比較すると、日本以外の6か国は7%~1%安の範囲を推移、しかし日本株だけは10%安となっています。新興国と比べても、最近何かとお騒がせな韓国、メキシコ、アルゼンチンと共に最後尾集団にあるとされています。日本株の売り手は他ならぬ外国人投資家であり、2012年からの株価上昇:アベノミクス相場を支えた主役の外国人投資家は、この1年間で約5兆円を売り越したと言われます。


これまで日本企業は「稼ぐ力」を高めてきたと言われますが、最近は少々息切れ気味で、

営業利益率は12年度の5.5%から17年度の7.6%まで高まった後、18年度には低下に転じています。14%台の米国、10%台の欧州、10%台に迫るアジア勢との差はまだ大きく取り残されていると言えます。


こんな状況で、外国人マネーの本音として「日本企業は改革を進めているが、これからは未知数でもあるので、この辺で売って利益を確保しておこう」等と紹介されています。この市場の声を経営者はちゃんと受け止めているのだろうか?と投げかけています。

経営者の「投資リテラシー」は、自らが率いる会社を投資家の視点で客観視する力であると提言し、信越化学工業の金川会長の「市場が短期的収益を求めるから100年の体計を進められないという経営者はごまかしている。長期的な成果は毎月毎月の積み重ねの賜物だ」というコメントに言及していました。そして「そんな経営者は私(金川氏)が投資家でも信用しない」とも言っていたようです。


企業の最高経営責任者(CEO)が投資リテラシーを高める簡単な方法として「株式投資」だとしています。株価が下げた時に株主の痛みを理解し、投資家に選んでもらうための戦略もイメージしやすくなります。確かに、自社株を保有する経営者はいますが、他社株まで投資するトップは少ないです。


投資家向け広報(IR)に積極的なある経営者「李下に冠を正さず(スモモの木の下で冠をかぶりなおそうとして手を上げると、実を盗むのかと疑われるから、そこでは直すべきではないという意味=人から疑いをかけられる行為はやめておいた方がいい)」とインサイダー取引規制抵触を恐れているようです。

ある証券会社トップ「株価が気になって仕事に集中できない」とのこと。社長室に座ってスマホでちらちら株価チェックでしょうか?

こうした考えは、企業に染みついた「株は悪」という風土に行きつくとしています。


最後にこのコラムでは、少なくとも将来経営者になる人には、今から長期的な株式投資の腕を磨いてもらいたいとしており、日本企業の今後の戦略に必要な要素となる可能性が高いからだと言っています。買いの要素:有望な事業分野を見つけ、資金を投じる意思決定はまさに投資そのもの。日本電産はバブル崩壊の91年以降、株式市場とは逆行して時価総額を67倍に高めてきたとされています。これは創業者の永守重信氏が買収巧者であったことにより、16歳から株式投資に親しんでいたことと無関係ではないとあります。

そして売りの要素:中国景気の減速で、アジアでは不採算部門・非中核部門を売却し、収益力を高める動きも多くなりました。例として韓国ロッテグループのカード部門の大型売却を挙げています。

投資家のごとき日本の経営者としては、ソフトバンクGの孫氏を挙げていますが、孫氏さえ同グループ内に上場子会社を抱え、少数株主と大株主であるソフトバンクGとの利益相反が起こりえる「親子上場」については、投資家目線で客観性を問われると提言しています。


こうした経営者の投資リテラシーを高めていくことこそ、日本の企業経営を変える、さらに日本企業の株式文化を変える大切な要因であり、失われた30年を変える転換点になるかもしれな視点だと提言していました。


いやはや、、、私も、個別銘柄への投資歴25年ほどになりますが、やはり身銭を投じると企業活動や経営方針も本気で気になります。株主通信も隅から隅まで目を通しますし、WEBサイトや有価証券報告書も時々覗いて新たな発見もワクワクします。株式投資はただの金儲けの手段ではなく、そういう知的好奇をくすぐる社会参加や企業活動の応援手段でもあり、世の中の経済活動に日々興味を持って生きることだと思っていますので、やはり止められない(多少のリスクを取っても・・・)のです。


そう言えば、、、、確か昨日10/4は「トーシの日」でした(笑)

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