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GPIFの次なる一手は?

2019/10/01日本経済新聞 『GPIF、外債投資拡大へ』より


公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、外債運用を拡大する方針のようです。為替変動による損失を回避した外債(外国債券を為替ヘッジして投資した部分)を、国内債券扱いにできるように運用計画を変更し、外債投資枠を実質的に増加させるとあります。この背景は日銀によるマイナス金利政策でに日本の国債を買いにくくなっており、世界最大の規模の運用機関GPIFの運用方針も変えていかざる得ないようです。


19年6月末のGPIFの運用資産は約160兆6000億円国内外株式と債券に分散投資しています。基本配分の目安としての「基本ポートフォリオ」外国債券の上限は19%(基本15%+カイリ許容幅±4%)であり、6月末の外国債券の保有額は約29兆円、比率は18%とカイリ幅を含む上限に迫っています。


この為替ヘッジ外国債券の買付と同時に、外債の満期若しくは売却時にその資金で円に転換する契約を結ぶため、円高で損失が発生せず、円建での利回りが確定する取引です。

本記事によると既に為替ヘッジがついている外債は約1兆3000億円あり、これを国内扱いに変更できれば、その分外債投資枠が生まれます。GPIFは為替ヘッジ付き外債購入は18年度から本格的に開始しているとあります。日銀のマイナス金利政策によって、日本国債の利回りがマイナスとなり、日本国債を今から買っても損失が出ることが明らかであれば、将来の私たちの年金の一部を投資する訳にはいきません。国内債券の運用比率は、過去最低の水準とは言え6月末時点で27%弱もあります。19年度に予定される基本ポートフォリオの見直しによって、外債部分の比率を高めるかが注目されます。


GPIFは2014年10月末から基本ポートフォリオを国内債券:35%、外国債券:15%、国内株式:25%、外国株式:25%債券60%:株式40%に変更し(それ以前は債券+短期金融商品で76%:株式24%とより保守的な運用でした)、より積極的にリスクを取って、我々の年金を運用しています。今回さらに金融環境(金利、国債マーケット)の変化によって、この見直しが言われています。


外債比率を増やすと言っても、どの債券(どこの国の債券なのか、または社債も含むのか)や為替ヘッジを組む相手の金融機関のリスクはどうするとか、リスク管理も複雑になるのではないかなと思ってこの記事を見ていました。ただ確実に言えるのは、昨今2000万円足りないとクローズアップされた我々の大切な年金原資ですので、きちんと説明のつく運用方針で行って頂きたいと思います。

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