2019/09/07日本経済新聞M&I 『今始める 配当株投資』より
株式市場が不安定な動きとなる中、先行きに不安を抱く投資家が、今注目しておきたい指標の一つが「配当利回り」だとあります。
今夏以降の株価調整で配当利回りが高まった銘柄が増えていますが、そうした高配当利回り銘柄を選択するポイントについて紹介されています。配当利回りは配当の水準を判断する投資指標としてよく利用され、株価に対する年間の予想配当金の割合で表されます。年間配当50円を計画する銘柄の株価が1000円の時、配当利回りは5%(年間配当:50円/株価:1000円)となります。配当の水準が変わらず、株価が下落すればこの算式でわかるように、配当利回りは上がります。日経平均を構成する銘柄の平均配当利回りは8/26時点で2.36%と、今年で最高の水準に高まっています。株価が22,000円台だった4月では2%付近、昨年の株価が上昇した時点では、1.5%台あたりまで低下する局面もありました。最近の2%強の水準では、「金利がゼロの債券などと比べても株式の魅力が高まっている」と考える投資家も増えています。個別銘柄に投資する場合、単に配当利回りが高い銘柄を探すと、業績不振・財務内容が不安定な中小型株が含まれることが多くなってしまい、投資のリスクが過大になってしまいます。極力リスクを抑えるためには、「財務基盤が比較的しっかりしている時価総額が大きな銘柄から選ぶのが良い」と指摘するのは楽天証券の窪田氏。私もこの点はとても大事なポイントかなと思います。
紙面では日本を代表する大型株を集めたTOPIXコア30を対象に、配当利回りを銘柄ごとに調べ、高い順に並べたものが紹介されています。
大手銀行、商社が数社ある中、首位は日本たばこ産業(JT)で配当利回りは約7%、4.3%のホンダでも日経平均銘柄の平均の2倍近くの水準です。このような大型・高配当銘柄は、配当利回りを重視して投資対象とする投資信託の常連銘柄です。しかし現在は米中問題を筆頭に、目下世界経済の不透明感が強い真っ只中であり、為替相場も不安定極まりない中、急激な円高は海外で稼ぐ企業にとっては利益減少要因であることは間違いありません。言うまでもなく配当の原資は純利益であり、本業の不振は配当の減額へと直結します。
こうした業績の変化に注意を払うには、企業利益の「進捗率」を参考にすべきとあります。これは企業の純利益の通期予想に対する期中の達成度合いを示す指標であり、要するに「1年間の利益の計画に対して、今の時点でどのくらいの達成度合い/計画通りに来ているか」ということを示しています。例えば3月期決算企業で4-6月期業績を発表企業であれば、25%(1/4)、12月決算企業で1-6月期業績を発表企業であれば、50%(1/2)が目安となります。記事の例では、3月期のNTTドコモの進捗率は33%と目安の25%を上回り、12月期のキャノンは41%と目安の50%に比べ下回っていることが分かります。こうした進捗率を四半期(3ヶ月)毎に確認しておくことも企業の業績が計画通りに進んでいるかのチェックとなります。海外環境や景気動向に業績が左右されにくいディフェンシブ銘柄が良いとする市場関係者のコメントもあります。
どのような観点で銘柄を選び、どのような投資スタンスで保有する若しくは売却する等、時々の経済情勢で変化しながらも、ご自身にフィット感がある手法で行うのが最も大切な投資行動だと思います。
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