2019/09/01日本経済新聞 『投信「少数精鋭」進む』より
代表的な運用商品でもある投資信託で、「少数精鋭」の傾向を強めているとのこと。
8月は新規設定されたファンドは7本、月間ベースで13年ぶりの最低を更新し、年間でも最低となる見通しのようです。
「老後資金2000万円不足問題」の自助努力が叫ばれ、若年層を中心に資産形成へのニーズが高まる中、投信業界では本数を抑えて経営資源を集中することで、長期の運用成績の底上げにつなげようとする動きが強まっています。8月の新規ファンド設定7本は、2006年8月の11本を下回り、遡って確認できる06年以降で最も少なくなったようです。06年当時は新興国を投資対象としたり、複雑なデリバティブを駆使したりする投信が現在ほど一般的ではなく、新規のファンド設定がとても少なかったステージでした。
最近の新規設定の減少は、「長期運用重視」の傾向が運用業界で強まっているためです。8月設定の投信の中にも、長期的な運用成績に大きなインパクトを与える継続的な運用コスト(信託報酬)が低いものが目立つとあり、一例として三菱UFJDC年金バランス(株式25)は信託報酬が0.14%の水準とあります。その一方で、毎月の分配金を支払う「毎月分配型」投信の設定は減少傾向です。AI・ロボ等売りやすく旬のテーマに投資対象を絞るタイプのテーマ型も減少、話題優先の商品を次々乱造し、お客さまに次々買い替えを勧める所謂「乗り換え商法」も減少。投資家サイドでも、顧客層が変化してきており、これまで短期的な値上がりで成功体験を持つ高齢投資家が投資から遠ざかり、老後の資産形成のため長期に渡って運用実績のある既存の投信を選択する若年層が増えてきています。様々な運用資産の性格によって、いろいろな投資スタイルがあって然るべきですが、「将来資金の準備を長期投資で備えたい」というニーズに応えるには、この投信の少数精鋭化の動きはとても歓迎すべき事ではないでしょうか?
少し前、8/27日経紙面に「独立系投信、流入1兆円超」ともあり、その先駆者的な存在の「さわかみ投信」が設定から20年を迎え、セゾン、レオス(ひふみ投信)、コモンズ、鎌倉投信を加えた独立系投信5社の残高は、約1兆3600億円程度となったともありました。
特に独立系5社のお客さま層の特徴は、現役世代による定時定額買付(いわゆる積立投資)の利用者が殆どで、この手法で長期継続している投資家の多くがプラスのリターンとなっているともあります。販売会社(銀行・証券など)を介さずに、自社でお客さまへとのコミュニケーション機会を持つことで、単に儲けるためにお金を株式に投資しているだけではなく、投資を通じて企業活動を応援する社会参加の意味をお客さまに啓蒙している点も、一度始めた(積立)投資を途中でやめることなく、長期で続けてもらうための「大切な仕組み」に違いありません。
因みに私もFAとして、お客さまには、必ずやリスクを取っただけの成果を実感してもらいたいと強く思っているので、この投資を長く続けてもらうための仕組化は、最もこだわり、かつ常に工夫を重ねています・・・
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