2019/08/28日本経済新聞 『買われぬ高配当株』より
世界経済の不透明感が強まる中で、中央銀行による金融緩和とそれに伴う低金利政策が続いています。このような中、従来配当利回りが高い銘柄への魅力が高まってくるはずなのに、、、昨今の高配当銘柄でさえも不人気ぶりを伝えるトピックです。
国内運用会社によると、「機関投資家向け高配当ファンドの運用成績が不振な理由への問い合わせ」が多くなり、資金流入も停滞しているようです。配当利回りが高い銘柄で構成する「日経平均高配当株50指数」は18年末に比べ8%の下落、同期間での日経平均株価は2%の上昇で、その差は10%程と大きく見劣りしています。低金利の環境では、より高い利回りが期待できる資産に資金が向う傾向があります。
例えば国内不動産投信全体を示す東証REIT指数は年初から一貫して上昇しており、約12年ぶりの高値圏にあります。日本株の配当利回りも歴史的な水準であり、東証1部全体の配当利回りと10年国債利回り差は2.94%(8/26時点)まで広がり、遡れる1995年以降では最も高い水準にあります。理屈の上では債券と比べた株式の配当利回りは十分魅力的であるのに、何故高配当株は買われないのでしょうか?
本記事ではその理由を、①配当利回りの「確実性」と②投資家の成長株志向の2つとしています。まずは前者の配当の確実性の観点。不動産投信のREITは仕組上、不動産賃貸料である収益の9割以上を配当として投資家に還元する仕組みであり、昨今はその原資となる賃料も上昇傾向が続いています。経済の不透明感による企業業績の悪化懸念がぬぐえない中、「株式の配当は業績変動の影響を受けやすく、現状の高配当の利回りが継続できるかが疑わしい」との指摘。後者の成長株志向については、米国欧州の中央銀行による更なる金融緩和、追加利下げ観測が強まり、世界的に金利低下が続く局面にあるため、「金利が下げ止まるまで、成長株などリスクが高い資産に資金が集まりやすくなる」との農林中金系の運用会社ファンドマネージャーの指摘。
では最近不人気化している高配当株の中でも、魅力ある銘柄を探し出すポイントはあるのか?
この時期(8月下旬頃)は3月期決算企業の9月中間配当の権利取りの動きが活発化してき、「高配当利回り銘柄でも、過去の実績や財務健全度から減配リスクが低い銘柄が選ばれやすい」とよく言われます。
スイスのプライベートバンクUBSのリサーチヘッドは、過去15年で配当減額回数が1回以下の銘柄は、対市場平均での運用成績が良好、かつ金融危機時でも相対的に株価が底堅かったとコメント。具体的銘柄としてはKDDI、NTT、クラレが該当するとしていました。
株価は「経済の先を読んで動くもの」であるとのセオリーに従うならば、、、今年の権利取りの動きでは、配当の「継続性」や「安定性」といった『質』に注目した選別が進むかもしれないと記事は結ばれています。この配当に関する投資家の考えは、時代時代やその時々の経済局面、および企業の成長ステージや財務状況に応じて変化していきます。
そして投資家としても、どのようなスタンス(配当狙い/値上がり狙い、短期売買/中長期保有、、、等々)で株式への投資を行っていくのか、ご自身のスタイルにフィットする銘柄選択が重要ではないかと思います。
※FAの私としては、ある程度、割安度が強まる中での、高(好)配当銘柄への投資は結構好きな提案です・・・
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