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執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

継続ウォッチ! J-REIT市場

2019/07/11 日本経済新聞『REIT 11年半ぶり高値』より


米国NYダウが史上初の27,000ドル超、S&P500種も終値こそわずかに届かずも一時3,000を超えて史上最高値を更新…そんな折、日本の不動産投資信託(REIT)2007年以来の11年7ヵ月ぶりの高値となりました。


10年国債利回りがマイナス圏に推移する中、相対的に利回りが高いREITに投資家の注目が集まります。REIT同士の再編期待や日銀による買い支えの安心感もあり、国内外の投資家の資金が集まります。今週はオリックス系、森ビル系、三菱商事系の産業系や都心大型オフィス等の日本ビルファンド、ジャパンリアルエステイトなど幅広い銘柄が広範に買われ、東証REIT指数は18年末に比べて約13%の上昇、19年は持続的に資金流入となっています。

この要因は比較的高い配当利回りとあり、これに相当する東証REIT指数の分配金利回り(加重平均ベース)は約4%。マイナス0.1%台の水面下にある10年国債利回りとは対照的です。また東証1部の配当利回り約2.5%と比較しても高めの水準となっています。


REIT業界内での合併買収等の再編機運の高まりもプラス要因であり、さらに需給サイドでも、日銀の年間900億円を目途とする個別銘柄の買入枠も投資家にとってはサポート要因です。日銀はJREIT買入の個別銘柄を「ダブルA格」以上としており、特に当該銘柄には投資マネーが集中しています。前回、東証REIT指数がピークをつけていた2007年は、内外の投資ファンドなどが巨大な資金力を持ち、不動産を買い漁る「ミニバブル」でしたが、当時と比べるとまだ割高感は薄いと言われています。ある証券会社の試算では、時価総額が純資産の何倍かを示す「NAV倍率」は現在1.17倍、ミニバブル期07年の1.24倍に比べるとまだ低い水準です。人材を獲得したい企業が都心部にオフィスを拡充するニーズが旺盛なことから、REITの配当原資である賃料収入の拡大期待もあります。しかし不動産市場全体としての先行き懸念は、何と言っても現物としての不動産価格が高くなっていることであり、REITの中でも有力な物件仕入元であるスポンサーを持たない投資法人(REIT)は規模拡大が難しいとの声もあります。


12日の紙面には、東証REIT指数が「11年7ヵ月ぶり2000回復」ともあり、世界的低金利の中での一定の利回りが確保できる投資対象としての魅力はまだ続きそうです。


ただ最近では日銀による買い入れはほとんどなく、主な買い手は債券の代わりの資金運用先を模索する地方銀行となっていたり、業界内再編の行方であったりと、投資主体・金利水準・裏付けとなる不動産市場の変化を随時アップデートしながら投資判断を提供しようと考えます。


【ご参考】

JREIT市場全体の利回りを知るには→こちら

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