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想定内の10年半ぶり米国利下げ

2019/08/01 日本経済新聞電子版 『米FRB、10年半ぶり利下げ 0.25%』より


米国FRBは7/31のFOMCにて政策金利を0.25%引き下げ、10年半ぶりに利下げに踏み切りました。貿易戦争のリスクを警戒し、景気悪化を未然に防ぐという目的であり、パウエル議長は記者会見でも「景気循環の途中の調整」として、長期の利下げ局面入りは否定しています。しかしながら、基軸通貨米ドルにおける利下げは世界的な金融緩和合戦となる可能性もあります。


31日のFOMCでの決定は、短期金利の指標であるFFレート金利の誘導目標を、現状の年2.25~2.50%から年2.00~2.25%へと0.25%引き下げ、米国債等の保有資産縮小する「量的引き締め」も2ヵ月前倒し終了するというもの。

利下げは、実に金融危機直後の08年12月以来。米国経済は19年7月に拡大局面が11年目に突入し、記録に残る1850年代以降で過去最長を更新したばかり。失業率は3%台後半と、景気の基調は底堅い状態ですが、パウエル議長は、「海外経済の動向とインフレ圧力の停滞」が利下げの理由として、先行き不安による景気悪化を未然に防ぐための予防的利下げとしています。


米国の10年半ぶりの利下げは、各国・各地域の中央銀行への通貨高への警戒感と金融緩和行動へと傾斜させます。欧州ECBは9月にも追加緩和に踏み切る見通し、日銀も「リスクを未然に防ぐ」と早期の金融緩和の可能性を示唆しています。こうした世界同時金融緩和は、景気下支えとマーケットの過熱を招くリスクと表裏一体となります。


本日紙面マーケット面には、「予防緩和」節目は105円?」ともあり、米国の利下げを受けて、強まる円高圧力に対してどこまで許容できるか、日銀・政府の思惑や対応に言及されていますが、既にマイナス金利下にある日銀が取り得る政策対応で、残されているカードはあまりない気もします・・・

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