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実質マイナス金利でのリスク資産投資:後編


2021/05/29日本経済新聞『リスク投資 近づく転機』より 米国債市場と言えば、グローバル資産運用において謂わば「主食」です。 実質マイナス金利はマネーを半強制的に、リスク資産に押し出すことを意味します。 株式一般的に実質金利が低く実質成長率が高いほど、PER(株価収益率)は高くなります。低格付け債(ジャンク債)も米国債利回りと比べたスプレッド(上乗せ幅)はコロナ禍前を下回っています。HFなどはドルをタダ同然で借りれるため、レバレッジ投資に走りリスク投資の拡大に拍車がかかります。※この帰結が先日のアルゲゴス問題でもあります。 通貨価値の目減りも意識され、主要通貨に対するドルの実力を示すドル指数は、実質金利に連動して低迷中。その裏側ではドルを借りて他国資産にマネーが流れるドルキャリーが行われ、新興国資産への流入も多くなっています。 しかしこの構図にもそろそろ転機が近づいているとされ、FRBのクラリダ副議長は「今後の数回の会合でテーパリング(金融緩和の縮小)の議論を始められるかも」とテーパリング検討を匂わせています。緩和縮小の観測は実質金利の底上げにつながりやすく注目に値します。米モルガンスタンレーは、22年半ばには実質金利のマイナス幅が0.45%に縮小するとみています。低金利の支えが弱まると、リスク資産へマネー流入が鈍り、その先は企業の成長力・業績、経済の回復力が厳しく問われてきます。 FRBのテーパリング予告で市場が混乱したのが13年のテーパータントラムでしたが、混乱の原因は、米実質金利がマイナス圏からプラスへと一気に急伸したことでした。FRBは急激な政策転換を避けるべくなかなか気を遣っているように感じます。 一方で目先の市場安定に拘り過ぎるとリスク資産へのマネー膨張が続き、バブルにすすむ芽が出てきます。マーケットの今後は正常化を巡るFRBの舵取りと実質金利の反応にかかってくると記事は終わっています。 これまでコロナ後の力強く回復した遠くの経済を見ていた投資家も、目先の着実な景気回復を見ているような気がしています。大きな転換点が近づきつつあるのは理解できるのですが、やはりまだいろいろな投資家も迷っているのだなと思う局面です。

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