2021/04/07日本経済新聞『世界 今年6.0%成長へ』より 国際通貨基金(IMF)は4/6改定した世界経済見通しで2021年の成長率見通しを6.0%として、前回1月予測より0.5%引き上げました。 一時的な景気過熱が指摘される中で、世界は急回復する景気の勢いを上手くコントロールしながら、成長の持続力を高める政策へと軸足を移してゆくという難しい局面に差し掛かりつつあります。6%成長の実現は、現行IMF統計で遡れる1980年以降で最高となるようです。世界銀行での同様の統計では73年以来の高い伸び。 新型コロナ禍で30年がマイナス3.3%成長に落ち込んだ反動があるにせよ、ワクチン普及・米国の財政出動が成長を押し上げています。そして22年は伸び率は4.4%に鈍化しそうとの試算です。 米国の21年成長率は6.4%と1.3%の上方修正。1月に発足したバイデン政権が1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策を実現した効果を加味したようです。中国の成長(8.4%)と共に世界経済をけん引するとの指摘です。 19年の世界のGDPを100とすると、21年は102台と危機前の水準を回復。 コロナ禍前、IMFは20年の世界経済成長率を3%台と予測していましたが、それが逆に3.3%マイナスに落ち込みました。危機前の水準を回復するだけでは、かつて想定した成長軌道には届かないことになります。 一方で世界経済が一時的に過熱する恐れも高まっています。市場の関心は米国FRBの金融政策の行方に移っています。FRBは21年の成長率がIMF予測とほぼ同じ6.5%としつつも、少なくとも23年末まではゼロ金利を維持する方針を打ち出しています。FRBは一時的な物価上昇を許容するとしていますが、景気過熱を上手く制御できないとインフレを招いてしまい、後から急激な利上げをしなければならない羽目になるかもしれません。これにより新興国からの資金流出など経済の混乱を世界中に広げてしまう恐れと裏腹です。 株式市場などのバブル懸念への対応も大切です。政策主導の需要回復で供給が追い付かないリスクも出てきます。昨今では世界的な半導体不足で自動車も減産せざるを得なくなっており、米中対立も深刻化しています。 今回の世界経済見通しは(WEO)は急回復する米中の経済回復をけん引としつつも、経済基盤がぜい弱で低所得の新興国へのインフレ波及やまだまだ遅れているワクチン普及国(欧州・日本)に配慮しての予測になっているという印象です。
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