top of page

不透明感漂う株式と対照的?世界の社債市場


2021/01/30日本経済新聞『世界の社債強気派なお』より 慎重姿勢に傾きつつある株式投資家とは対照的に、世界の社債市場では投資家の強気姿勢が目立っているとあります。信用リスクへの警戒度合いを示す社債利回りの対国債スプレッド(上乗せ幅)は1年ぶりの低水準まで低下発行企業が債務返済を進め、信用力が戻りつつあるとの見方です。この状態、こうした社債への強気見通しはいつまで続くのか・・・。 米系運用会社アライアンスバーンスタインの運用関係者は「今年の大きなテーマは信用力の回復業績回復に伴い債務を減らす動きが見える」とコメント。米国市場を中心に世界で発行された社債価格は昨年春から上昇(利回りは低下)して、スプレッドは縮小してきました。米インターコンチネンタル取引所の指標では、約1年ぶりに1%を割り込んだようで、

運用難に直面した投資家が少しでも高い利回りを得ようと買ってきたためとあります。 企業の財務改善が1つの理由のようで、社債にローンを加えた米国企業の債務残高はコロナ後に膨張したものの、その後の動きは一息ついています。日系証券の集計では、20年10-12月期に前の四半期より360億ドル減少。企業は債務返済に動き出しているとの事。 ※コロナショック直後の時は、企業債務がかなり膨れて怖いとの記事が多かったような印象がありますが、いつの間に、、、 「着実な利子収入が期待できる米国の社債はアジア・欧州の投資家にとって魅力的」という運用会社の債券運用者のコメントもありました。社債市場の安定はこのまま続くのかという問いには、やはり株式市場の波乱と米国の株安が続くと投資家心理の悪化が社債市場まで波及することは懸念材料のようです。企業の信用リスクの高まりは格付が低い債券ほど売られやすく、この状態は時々繰り返されています。 2018年12月25日のクリスマスショックの際も、米国株安から世界同時株安となり、社債市場にもリスク回避が広がり、スプレッドは約3年ぶりの上乗せ幅まで広がっていました。 1/27公表のIMFの国際安定性報告書では、コロナ禍の影響を受ける企業を中心に「支払い能力に関する懸念が遠からず再浮上する恐れがある」と指摘しています。 堕天使債(フォールン・エンジェル債)の候補はコロナ後に3倍に増加しているとされ、社債市場はコロナ禍からの回復を先取りしているとは言え、リスクには目配りをと記事は終わっていました。 とは言え、、、この辺りの市場の厚みは、様々な企業の社債が起債され流通し、多様なリスク許容度の様々な投資家の運用資金を引き付ける米国の社債市場の器を感じます。

最新記事

すべて表示

1年前の6月のトピックを読み返してみました。 投資で確りリターンを取り損ねない大切な大原則は、 市場に居続ける=一度投資してリスクをとったら相場の上下で無用な売買をしない≒何もしない というとても「シンプル」なものです。 市場を相手に、何人とも(著名アナリストもプロのファンドマネージャーも、ましてや個人の投資家も)先は読めません。 であればいっそのこと、先読み等無駄なことはせず、長期でどっ

2021/06/07日本経済新聞『近くて遠い中銀と株価』より 米国株式の最高値更新が目前に迫る中、表の要因がワクチン普及による経済正常化であるならば、裏の要因はリスク尺度の変動率低下と言えると始まっている記事。ここには中央銀行のサポートによる「株安保険」の影がちらちらとしています。中銀との距離感がリスク資産の価格を左右する状況は、市場と当局の両社にとってリスクを孕みます。 米ダウ工業株30種平

2021/05/29日本経済新聞『リスク投資 近づく転機』より 米国債市場と言えば、グローバル資産運用において謂わば「主食」です。 実質マイナス金利はマネーを半強制的に、リスク資産に押し出すことを意味します。 株式は一般的に実質金利が低く実質成長率が高いほど、PER(株価収益率)は高くなります。低格付け債(ジャンク債)も米国債利回りと比べたスプレッド(上乗せ幅)はコロナ禍前を下回ってい

bottom of page