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「カネは天下の回りもの」から重要な指標を見る…


2021/01/05日本経済新聞『カネは天下の回りもの』より コロナ禍で発行増となった国債を誰が買っているのか?という問いに多くの方は「日銀」と答えると思いますが、もう一つ忘れてはならない投資主体は「銀行」です。内閣府試算では、2020年1~9月の年換算では銀行の国債保有額は29兆円も増加しています。 15年~19年は年平均で国債保有額を28.2兆円減らしていたようですので、コロナ禍での投資行動の変化は全く逆です。20年には銀行の企業向け貸し出しも28.1兆円増加し、15年~19年の年7.5兆円増を大きく上回ります。 この貸し出しや国債保有の元手は、降って湧いたわけではなく、企業や家計が手元資金への選好を強めて、銀行預金に押し掛けたためです。コロナで経営先行き不安な企業は、銀行借り入れを増やしてその資金を預金におきます。家計も消費を抑えて預金に殺到。 コロナ対策として政府は企業向けに持続化給付金などを配ったり無利子無担保の融資を整備、家計には一人10万円の定額給付金を資金したため、このおカネの多くが銀行預金となり、その積みあがった預金を原資に「銀行」は国債を買上げ、政府の国債発行を消化しているのです。こうしてカネは天下の回りものとなって、政府の借金は破綻せずに済んでいるとあります。 ただし銀行の国債購入については、その中身が大切。 20年1~9月に保有額を2.5倍に増やしたのは短期国債であり、中長期国債の保有は5兆円も減らしています。短期国債は現金同等物とされるため、やはり国債の消化主体はやはり「日銀」とするのが正解です。

ではその日銀はその資金をどこから調達するのかというと、銀行が日銀に預けているおカネが原資です。金融の量的緩和でこの日銀預け金は膨張し、20年11月時点で480兆円にも達しています。そしてこの日銀預け金も、元はと言えば、家計や企業が銀行に積み上げている預金に他ならないのです。おカネは家計や企業、銀行、日銀と政府の間をグルグル回り、破綻なく済んでいるのは、日本の経常収支が黒字だからだとあります。このカネ余り状況は消費や投資という前向きなものに使われないと、経済や景気はよくなりません。今は異常事態とは言え、今後この状況がどのように変化し、おカネが流れていくのかを出口を考えておくことはとても重要な視点です。 尚、同日夕刊の十字路にも、「必要性が下がった量的緩和政策」についての記事があり、長期金利低下と行き過ぎともいえる資産価格(特に株式の高値更新)上昇をもたらした昨今では、そろそろ量的緩和は必要性はないのではないかと投げかけていました。 今年の注目指標は、経済正常化に伴って長期金利、インフレ率、実質金利がどう動くかについてのシミュレーションは必須です。

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