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景気敏感株はブルーウェーブに乗れなかったのか?

執筆者の写真: RYUICHI MOTOHASHIRYUICHI MOTOHASHI

2020/11/06日本経済新聞『波に乗れぬ景気敏感株』より 米国大統領選挙ばかりのメディアですが、11/5の東京市場では日経平均株価が2年1カ月ぶりに高値(11/6も29年ぶり高値24,370円台へ)へ到達。実はその裏で、鉄鋼や一部自動車などもともと株価が低迷していた割安銘柄はさらに下落し、取り残され銘柄になっています。 少し前からこうした景気敏感株の見直しが本格的になりそうと考えていた投資家は増えていたような雰囲気でしたが、目算は外れ米大統領選というビッグイベントは山場を越えつつある中でも、日本株の全面高という構図は描きにくそうだとあります。 日系運用会社のFMは「景気敏感株だから買うという動きが大統領選前は目立ったが、これは一旦終了」だと、理由は米国金利の動きです。米10年物国債利回りは大統領選の投開票の中で、0.9%台まで上昇が見られていました。これは大統領バイデン、上下両院とも民主党の勝利:いわゆるブルーウェーブであれば、大規模な財政出動で国債増発、さらなる財政悪化で悪い金利上昇と想起させていたからです。 金利上昇は株価を割り出す観点から割引率が上がりますので、これまで低金利で株価割高でも許容されていたIT他成長株の高い評価が崩れ、割安株に資金が向かいやすくなると言われていました。その流れが相対的に割安かつコロナ感染が抑えられている日本株市場に波及してくるとの見立てだったのです。しかし時間が進み、上院選では共和党が過半数を維持との見方が強まるにつれ、上下院がねじれて「財政赤字拡大」に歯止めがかかるかもしれないと米国長期金利は0.7%台に急低下、やっぱり金利は暫く低いままとの見方で、またも資金は割安株に向かわず成長株(特に米国は顕著に感じます)へと戻っていった印象です。 紙面では鉄鋼・自動車・銀行など金融株のいずれもPBRが0倍台半ば付近の割安株が逆行安としています。

外国人投資家の日本株の売買動向を探る際に目にする「NT倍率」でも割安株劣勢の動きが現れているとあります。日経平均(N225)を東証株価指数(TOPIX)で割ったNT倍率は5日に14.6倍にまで達し、1980年以来約40年ぶりの高い水準となったようです。 値がさ大型グロースが多い日経平均に比べて、TOPIXは景気に敏感な割安株構成比率が高いことが影響しています。 詳細な企業調査をしない外国人機関投資家は日経平均先物での売買が多くなるため、NT倍率上昇(分子のN225が高くなるので)は「外国人の買いが多い」なんて良く言われますが、こうした業種別での銘柄物色ではあまり見ない印象で、そういう局面でもあるのかなと改めて思います。

ある別の日系FMのコメントでも「一部の銘柄に資金集中はモロさもはらんでいる」との注意喚起は私も同感で、資金逆流の際には、その勢いはとても早くて投資家としては怖さを感じます。これは少し前まで続いた米国テクノロジー企業(GAFAM)一極集中も同じです。 米国大統領選挙がどこの州で赤でトランプ/青でバイデンどっち?というのもとても大事な気になるトピックですが、米国の上院下院の議会の色(赤青)がどうなったら、財政政策と金利がどうなって、企業や富裕層に増税が簡単にできるのか出来ないのか等々、様々な要因を織り込みつつも、VIX指数も安定してきたことを勘案すると、投資家の雰囲気が「良いトコ取り」になっている日米株式市場のような気がします・・・ 個人的には、少々気にすべきはVIX指数と米国10国債利回りかと。


追記・・・

NT倍率のイメージがわからないかと思いますので、こちらで・・


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