• RYUICHI MOTOHASHI

VIX指数先物のカーブから見る、膠着相場からの「波乱の予兆」?


2020/07/09日本経済新聞『膠着相場に波乱の予兆』より この1カ月の間、日経平均株価は22,000円台を中心に狭いレンジで動いている状態が続いています。世界的なカネあまりによって株価の下値は限られそうな反面、景気・企業業績の回復を先取りした株価上昇については、まだまだ警戒感が強そうです。

はたして、この膠着状態はいつまで続くのでしょうか? 「炭鉱のカナリア」とも言われる米国VIX指数(恐怖指数)先物価格から、近づく波乱の

予兆が見られると始まっています。 米国株式市場のS&P500の予想変動率を示すVIX指数は高止まりしており、7日終値は29.433月下旬の株価急落時の80超の水準からは大分下がり市場は落ち着いていますが、マーケットが「平時」になったと判断される20は上回った状態が続いています。 VIX指数を年間営業日(250営業日)の平方根である15.8で割ると、1日あたりのS&P500の変動率(σ)になります。VIXが29.43の状態は約68%の確率で、S&P株価が今後30日の間、1日あたり1.86%上下に動くと市場が予想していることになります

少々理屈っぽくて失礼しました。※このあたりの算出はブログ最後の算出式をご参照。

日々の株価の変動が2%近くというのは、まだまだ不安心理が蔓延していて市場が落ち着いているとは思えない状況だという印象です。VIX指数が反映する市場心理は米国シカゴ・オプション取引所(CBOE)上場のVIX指数先物の限月ごとの価格をつなげた期間構造グラフが参考になります


言葉にすると少し難しいのですが、実はそれほど難しく考えなくても感覚的なものでイメージが可能です。 要するにVIX指数先物はその月のVIX水準を予想して売買されますが、期先(先の期日)になればなるほど変動率の予想が困難になるので、先物価格は期先になるほど通常は高くなります。ですので期間構造グラフは右肩上がりの形状になるのが一般的。 それが現状を見ると・・・全く異なる形状!?です。

際立って変な形になっているのは、10月物の価格が異常に高くなっています。 VIX指数先物の形状は こちら でご確認ください。 これは理由が明確で、11/3には米国大統領選挙があり、その前後の波乱を投資家が予想しているからでしょう。この10月物が異常に高い状況は今に始まったことではなく、コロナ前から米大統領選挙の行方は不確定要因と投資家は見ていました。 むしろ、より注意を払うべきは、7-9月物の価格上昇であり、1カ月前からのVIX先物カーブは全体的に上にシフトしていて、7-9月物も30を超えています。野村證券EQストラテジストは「今の相場の均衡バランスは、7月下旬の企業の4-6月期決算発表を機に下向きに崩れてくるかもしれない」とコメントしています。 このストラテジストは日本株についてもマクロ指標から算出するトップダウン業績予想と個別アナリスト予想の積み上げであるボトムアップ予想のカイ離に着目しています。 つまりTOPIXベースの今期1株利益予想は、トップダウンが前期比34%減、ボトムアップは6%減であり、決算発表を受けてから初めてアナリストはコロナの影響の大きさを予想に織り込むことができるようになるのではと推察されています。とすれば、「ボトムアップ予想がトップダウン予想まで下方修正される」ことも想定されます。これは私もフィット感がある印象です。3月期決算を終えた企業でも多くの企業で業績予想を出せていませんし、会社四季報などの独自の業績予想でも、コロナ第二波のような起こる可能性が見積もることが曖昧なイベントは事前シナリオにありません。 数日前のマーケット欄にも、そう言えば、野村證券の株価見通しが米国・日本株とも下向きになっていた!のを思いました・・・ 最後にはこの3月のような急落が再度起こるとまでは思わないまでも、今の市場の「危うい均衡」はそう長くは続かない。さえずりを響かせている(危険を察知し、静かにさえずりを止めている?)炭鉱のカナリアは、来週以降本格化する米国企業の2Q決算発表前に鳴き止んでいると終わっていました。

個人的には、米国企業を始めこの4-6月期決算が、恐らく最悪期ではないかと思っています。株価は先を読んで動くものでしょうから、その先、悪いなりにも企業という営利活動を行う器が残せて、社会の変化に対応でき消費者に支持されるビジネスが続けられるのであれば、先行きの経済・企業の回復軌道を期待しています。 もしコロナ第二波が来たとしても、企業も消費者も正しく恐れることをかなり学び、対応力がついているのでは・・・という私の仮説はどうでしょうか? 高いレベルで維持されているVIX指数も、正しく怖がりながら、お客さまにはこのチャンスに少し工夫した提案を・・・考えている局面です。 ※ VIX指数÷√250=29.43÷15.8→1.862… S&P500株価指数の1日あたり変動率(σ)

最新記事

すべて表示

低コストの「指数連動ファンド」至上主義で本当に良いのか?

2021/06/30日本経済新聞『米長寿投信から個人マネー流出』より 運用歴の長い世界の著名投信から個人の資金が流出しているようです。株式投信の21/01月~05月の資金流出入を調べた調査では、流出上位は歴史ある米国のアクティブ投信が並び、個人投資家は低コストのインデックスファンドを選ぶ流れが鮮明になっているとあります。 モーニングスタダイレクトのデータを基に資金流出入を集計(クローズドエンド

「黒い白鳥指数」ついに過去最高!でクマさん出るか?

2021/07/03日本経済新聞『広がる「高所恐怖症」』より 連日高値更新の米国株式市場で広がる「高所恐怖症」・・・ 米シカゴ・オプション取引所が算出するスキュー指数は6/25に170.55と過去最高を更新。 継続的なインフレ懸念やIT株の割高感といったいろいろな懸念が重なって、起こる可能性は低いが、起こると株価急落を伴う「テールリスク」の警戒に繋がっているとあります。 スキューは別名ブラ

”ステイ・マーケット・・・”回顧録

1年前の6月のトピックを読み返してみました。 投資で確りリターンを取り損ねない大切な大原則は、 市場に居続ける=一度投資してリスクをとったら相場の上下で無用な売買をしない≒何もしない というとても「シンプル」なものです。 市場を相手に、何人とも(著名アナリストもプロのファンドマネージャーも、ましてや個人の投資家も)先は読めません。 であればいっそのこと、先読み等無駄なことはせず、長期でどっ