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景気悪化でも株高は、感染第2波で二番底の危険…


2020/05/10日本経済新聞『景気悪化でも株高』 世界で株価指数と景気指標との乖離が大きくなっています。 コロナ感染拡大の影響で過去最悪の経済指標も相次いで発表される中にあって、日米などの主要国では株価が回復傾向にあります。 経済再開を見据える国が増えており、市場は景気の底が4-6月になると期待しているようです。各国中銀の異例レベルの金融緩和、企業の信用不安が回避されたことで、投資マネーが株式市場に戻っているようですが、感染拡大第2波が来れば、不安心理が再び訪れるかもしれないと警戒しています。 5/8発表の米国失業率は80年ぶりの水準まで悪化していますが、ダウ30種平均は前日比455ドル高(1.9%高)となっています。3月のNYダウは、2月の高値から37%下落したものの、そこから3割を回復。日経平均も31%下落してから22%上昇し、5/8には節目の20,000円を回復しています。 特に米国ナスダック総合は、昨年末水準を回復、コロナショック前の高値まであと7%に迫っています。欧州株ストックス600も3月安値から22%上昇、世界の株価指数のMSCI全世界指数も28%上昇の回復ぶりです。 一方、景気指標は悪化傾向が顕著で、グローバル総合購買担当者景気指数(米JPM、英IHS算出)は4月には26.5となり、08年11月のリーマンショック後の36.8を下回って過去最低となっているようです。 IMFも4月に20年の世界経済の成長見通しをマイナス3%と公表し、さらに下振れの可能性も示唆しています。

企業の予想一株当たり利益(EPS)との株価は逆の方向に動いています。米国S&P500は3月安値から3割回復するも、指数構成企業のEPSは悪化し続けています。ドイツや香港の株式市場とEPSの動きは米国同様です。 「株価は常に実体経済の先を見越して動く傾向がある」と言われ、確かに「景気が最悪でこの先どうなるのかなと不安に感じられる今」が思えば景気の底だったりします。 特に今回は突然の外部要因による経済活動停止で、短期間で解消されると期待も根強いとあります。事実、米国では8日にカリフォルニア州で一部小売業の営業再開、ドイツ・フランスでも行動制限緩和がなされていきます。 各国の財政出動規模も総額8兆ドル(約850兆円)にも上り、FRB、ECB、日銀も異例の金融緩和で市場に資金供給を行っています。中でもFRBが低格付けになった企業の社債まで買い取り対象とすると踏み込んで以来、株式や社債などの幅広い資産にまで資金流入となっています。 ある一時期(3/下旬)よりは、落ち着いたとは言っても、米国経済の約7割を占める消費に直結する失業者数の増加はやはり無視できない状況には違いないのではないでしょうか。 株価水準の回復によって、株価収益率PER(株価がEPSの何倍まで買われているかを示す指標)は1月、2月の高値時を大きく上回る水準で推移(4月後半で約19倍程度までありそう)していて、「利益回復なき株価の回復」には割高感を感じ得ない印象です。 感染拡大鎮静化や経済活動再開を機に緩和マネーが流入・・・ このあたりに感染第2波による株式市場の二番底を警戒が拭い去れない原因なのかもしれないです。

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