top of page

2つの映画で真剣に考えた「世界経済」の未来


2020/03/31日本経済新聞 『日本株を「ビッグ・ロング」』より 2007-2009年の金融危機でサブプライムローンの破綻に賭け、大儲けした投資家マイケル・バーリを知ったのは、原題「ザ・ビッグ・ショート」という映画です。 元医師で対人関係が苦手なバーリは、半袖短パンのテニスジャージ姿に裸足で毎日部屋に閉じこもり、住宅ローン証券化商品の様々な資料を綿密に調査、支払い不能が続出すると確信、この読み通りであれば、莫大な利益が出るクレジットデフォルトスワップに賭けた取引を行います。この「ショート」という取引は「空売り」のことです。

この映画の中で、「住宅ローン市場はハリボテで、こんなインチキ商品を売りつけ儲けてる強欲な銀行に恥をかかせてやる!」というシーンが印象的でした。 このDr.マイケル・バーリは今、ファンド名:サイオン・アセット・マネジメントとして、「日本の中小型株を買っている!」とあります。何か好機を見出しているのでしょうか?

3月初め頃の大量保有報告書で日本企業数社の大株主として確認されているようです。 実はこのバーリ氏は米国で割安株投資で実績をあげてきていたとあり、企業自体は現金を沢山保有し収益性は高いが訴訟を抱え株価が急落した会社を買い大きな投資収益を上げているようです。

今回保有の、日本の中小型株もキャッシュリッチ企業が多く、現状の株価は売られすぎとの分析を想像できると記事では紹介されています。運用ビジネスの第一線歴40年以上のある専門家は「石油危機、ITバブル崩壊、リーマンショックとこれまでも何度も危機はあったが、マーケットは必ず立ち直ってきた」とコメント。 新型コロナ感染拡大をきっかけにした株価の大暴落は、統計上は1万年に1度とも言われる異変で、多くのコンピューター取引でさえも上手く対応できません。持ち高を売ったり、下げの勢いにリスク量を下げるために、更なる売りを重ねてどんどん値を下げていきます。

この機械的なトレードの中に、真の企業価値を問う逆張りの視点は欠如しています。 2008年のウォーレンバフェットの株主への手紙には、「悲観は友、陶酔は敵」とあり、

リスクを過少にみる陶酔から、過剰におびえる悲観へと一気に振り子が向かったのが、まさに今とも言え、新たな投資機会を生むと。 長い目で見れば、新型コロナ感染はどこかで必ず収束に向かい、止まった経済はやがて動き出し、企業も活力を取り戻します。まさにこれを信じて、ショート(売り)の逆:コロナショック後の世界を見据えた日本株への「ビッグ・ロング(買い)」のチャンスと感じ、

本源的価値を見出そうと「動く投資家は確実にいる」と少し勇気をもらえる記事でした。 仏経済学者のトマピケの「21世紀の資本」を見て、世界経済や資本主義の歴史を再認識した私はそう信じています。

bottom of page