2020/03/05日本経済新聞『PBR1倍は岩盤か』より
米国FRBは新型コロナウィルス感染拡大による景気後退リスク対処のため、政策金利0.5%の緊急利下げを行いましたが、米国株式市場は大幅安と冷たい仕打ち。
コロナ感染による株式市場へのダメージは、これまでの危機を救う万能薬だった金融緩和の限界を意識したもので、それほどまでに経済活動の低迷は深刻になってくると市場は反応しているかもしれないとあります。
マーケットは17-18日の定例FOMCを待たず(待てず)にFRBが利下げに動くことをほぼ織り込み済で、2日にはNYダウが史上最大の上げ幅記録はこの表れだったとされ、予想通りの「緊急利下げ」も、先読みマーケットは「既に織り込み済」だったということになります。
市場は次の定例FOMCの追加利下げも織り込み始めており、昨夜も+1000ドル超の上昇:27090ドルまで回復して終わっていますが、これで市場の動揺が収まるかどうかは不透明…
もし、次回0.25%の利下げをすると、(今回の0.5%と合わせて)利下げ合計0.75%と、
金利をマイナス水準にしないと仮定すれば、利下げのノリシロの半分を使ってしまいます。
コロナショックが無事鎮静するか分からない中で、FRBがどんどん利下げのカードを切っていき、先々の利下げ余地が無くなってしまうことを市場は少し不安視しているかもしれません。これが今週の上下に大きくブレる不安定な動きの原因かもしれません。
もしそうだとすると、、、
その視線の先は韓国・イタリア・イランそして日本等、中国以外で拡大中のコロナ感染がどのタイミングで動きが鈍っていくかでありましょう。
3月末までの感染拡大ペース鈍化が一つの重要ポイントと指摘する市場関係者コメントがありました。以下、シナリオ①:3月までに収束する、シナリオ②:3月に収束しない
シナリオ①
3月中の感染拡大食い止め材料→先読み株価は、世界経済の一時的落ち込みのV字型回復
シナリオ②
3月中の収束兆しが見えない→世界経済の景気後退の折り込み始めと、この3月中が分岐点の岐路
3/4の日経平均は朝方安値を下値に切り返して終値は21,100円、この朝方の安値20,682円は
日経平均のPBRが(加重平均ベースで)1.0倍となる水準でした。
2016年1月中国発株安、2018年12月クリスマスショックの急落時は、このPBRが0.99倍で下落した時点で大底を打ち、株価は回復してきました。
しかしこの「PBR1.0倍が株価の底」という経験則は、「あくまでも世界経済が景気後退に陥らないのが前提(日系証券関係者コメント)」でありました。
この前提が、見事に崩れていいたのがリーマンショック時であり、危機後の09年3月にはPBRは0.81倍まで低下しています。
この3月のコロナ封じ込めの兆しが見えると見えないのでは、厳しい市場環境の先読み風景は全く異なります。
ましてや日本は米国のような利下げ余地もなし(既にマイナス金利という水面下ですし)、
日銀の追加緩和がどの程度マーケットに効果テキメンなのかが、より怪しい市場環境ですし・・・
同紙面の大機小機も各国協調・中銀は量的緩和で「長期停滞を防げ」とありましたが・・・
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