2019/10/26日本経済新聞 『「全部高相場」 勝者は株式か』より
昨今の米国市場で起きていることは株高、債券高、金高、原油高という「全部高相場」であり、10月末のFOMCで3度目の利下げが更なる株高を後押しすると、2019年の一番の勝者は株式となりそうだとあります。25日の米国株式市場ではダウ工業30種平均は26,958ドルで終了、S&P500も一時過去最高値を上回り年初来上昇率は2割を超えています。さらに国債・主要な米国社債の債券指数、金、原油までが年初来上昇率が10%超となっています。
米国LPLによれば、分散投資の主要資産である株式と債券、金、原油がそろって10%の上昇で19年を終わるとすると、年間では初めての現象となるようです。特に主要な投資対象としての株式と債券の同時上昇というのは、好況期にリスク資産の株式が買われ、安全資産の債券は売られる(不況期にはその逆)というセオリー的には本当に稀だと思います。本記事でも1984年以降、9月までにS&P500株価指数、原油、金が10%以上上昇し、長期金利が1%以上低下(債券価格は上昇)したのは一度もなかったとのこと。
このキッカケとなったのは、FRBによる利上げから利下げへの方針転換だとあり、さらにこの動きには世界の中央銀行が我も我もと一斉に利下げで追随していったとしています。景気後退を回避したいがための、こうした世界的な「予防的利下げ」が、世界的な「カネ余り」につながって、昨今の全部高相場の構図になっていると記事では指摘しています。
10月末のFOMCでは利下げは確実視されていますが、今回の利下げと更なる追加利下げに含み残すとの予想では全部高は継続、今回は利下げながら利下げに打ち止め感では全部高はいったん停止?、、、その後の米国株式の勢いには見方は分かれているようでした。ただこれはカネ余りという金融相場という側面からのものであり、決算発表を迎えている主要米国企業の決算内容は、市場予想を上回る内容も多く見られたり、(多くはありませんが)今後の成長を見込んでの投資を積極的に行うというメッセージが込められていたりと、中長期的な株式買いの材料も散見されています。原油や金といったコモディティよりも、業績回復という息の長い企業活動に裏打ちされ好材料が続くとすれば、この資産全部高の勝者は「株式」となりそうだと記事は終わっていました。
確かに金利がなくなっている債券のこれ以上の上昇余地は小さいでしょうし、代替資産としての金や原油に運用資産のパフォーマンスを過大に期待することも難しい...
となれば今後も引き続き「株式」に期待することになりそうですが、昨今の世界経済の減速下での株式の期待リターンは、少し保守的に見積もっていく必要があるかも知れません。
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