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【2019年10月改定】IMF世界経済見通し

2019/10/16日本経済新聞 『世界経済成長率3.0%に減速』より


世界通貨基金(IMF)の四半期ごとの世界経済見通し(WEO)の改定が公表されています。


2019年の世界全体の成長率を3.0%として、前回7月時点からは0.2ポイントの下方修正しています。米中貿易戦争により、世界的に貿易・投資が減速、金融危機直後の09年以来、10年ぶりの低い伸び率です。そしてついに中国の2020年の伸び率を5.8%として、30年ぶりに6%台を割り込むと予測しています。このWEOの下方修正は5期連続で、世界経済成長率3%は好不況の境目とされていますが、「世界全体の90%の国・地域で経済が減速している」と指摘しています。


ただ2020年には成長率は3.4%に持ち直すとしていますが、これも前回7月時点比では0.1%の下方修正です。こうした世界経済の減速の原因は、長引く米中貿易戦争であり、19年の世界の貿易量の伸びは前年比で1.1%どまり、18年(3.6%増)からは急減速です。


中国の成長率見通しは19年6.1%、20年には5.8%いずれも下方修正しており、18年の6.6%から減速、天安門事件直後の1990年の3.9%以来の低さとなっています。IMFは中国経済について、「企業と家計の債務が急増している」と金融面での不均衡に警鐘を鳴らしています。


貿易戦争を仕掛けた米国でも、19年の成長率見通しは2.4%と、前回7月時点比では▲0.2%の下方修正。企業の投資などが弱含んで、18年の2.9%の成長率からは減速予想です。そして20年の経済成長予想はFRBの利下げや政府の歳出拡大などにより、潜在成長率並みの2.1%としています。


日本は19年が0.9%、20年は0.5%の予測と修正はなし。ユーロ圏も輸出依存度が高いドイツは19年の成長率が0.5%、20年は1.2%にとどまる見通し。英国は19年が1.2%、20年は1.4%となっていますが、今後のEU離脱など不確定要素により更なる修正も否定できないです。


新興国群も19年は3.9%に引き下げられおり、18年の4.5%と比較すると▲0.6ポイントも減速を予測しています。


IMFのウェブサイトでは、「世界経済は同時減速と不確実な回復という、心もとない状態」としています。そして気候変動、サイバーセキュリティのリスク、租税回避、脱税、新たに台頭する金融技術がもたらすチャンスと課題の解決には、(自国の利益を優先するのではなく)多国間主義が大切だとして、グローバルな視点から各国々に協力を促しているのが印象的です。


IMFウェブサイトより World Economic Outlook

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