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執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

米国経済に忍び寄る「不況の足音」?

2019/10/03日本経済新聞 『米製造業 2ヵ月連続「不況」』より


米国製造業の景況感が急速に悪化し、2ヵ月連続で好不況の境目となる「50」を下回っているとあります。中国との貿易摩擦で輸出向けの受注が下振れし、生産活動に陰りが出ている他、製造業の雇用拡大ペースも鈍ってきています。これまで世界で唯一勝ち組だった米国経済の先行きのポイントは、個人消費の持続力になりそうです。米サプライマネジメント協会(ISM)の10/1発表の9月米製造業景況感指数は47.8、金融危機直後の2009年6月以来、10年3ヵ月ぶりの低水準となりました。市場予測は50.1でしたが、好不況の50を2ヵ月連続で下回って、製造業の景況感に限って言えば、「不況」を示唆する水準です。このISM製造業指数は米国景気の先行指標として知られ、FRBも金融政策判断に重視しています。昨今の項目で落ち込みが目立っているのは、外需の先行きを映す「新規輸出受注」であり、この指数は41.0ポイント(前月比2.3p低下)、好況水準を保っていた6月時点の50.5pからは10p近くも悪化しています。


米国製造業は国内総生産(GDP)全体の1割を占めるに過ぎません。逆に大部分を占める

非製造業は底堅さをキープしています。失業率は3.7%と非常に低い水準であり、8月の

小売売上高は前年同月比4%増と、個人消費は全体で見ると底堅そうに見えます。


となると、頼みの綱はこの内需の賞味期限ということになりそうですが、トランプ政権での大型減税は効果が早くも一巡、米国の新車販売は前年割れとなりそうであり、自動車産業の大規模ストライキによる生産調整も懸念材料、ミシガン州等、自動車や鉄鋼などの製造業集積地域の米中西部は大統領選の激戦区でもあり、製造業の景況悪化が20年の大統領選への影響を大きく与える可能性もあると記事でも指摘されています。


製造業の景況感悪化が進んでいるのは、米中貿易摩擦の流れであるのは明白ですが、トランプ大統領はFRBの政策運営に非難の矛先を向け、益々FRBには政権・市場からの圧力がかかっています。当のFRBは年内の利下げには慎重論が強く、政策決定には一枚岩にはなっていないということは先日も当ブログでも言及しました。


記事の最後では、ポイントとなるのは「製造業の景況悪化が雇用情勢にどう影響するか?」とあり、19年に入っての製造業の就業者数の増加幅は月平均6000人程度で、18年の同22,000人からは急速に鈍化してきています。


雇用不安⇒(今までは堅調な)個人消費腰折れ⇒FRB内で利下げ正当化の流れが強まって

くると、唯一これまで世界で一人勝ちの米国経済もいよいよ不況入りも注意しなければ

ならないのかなと思います。

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