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難問! 米国経済の分水嶺でのFRBの迷い…

2019/09/20日本経済新聞 『FRB,景気先行きに迷い』より


米国FRBは18日、7月末に続いて0.25%の利下げに踏み切っています。

パウエル議長は「景気が減速すれば更なる追加の利下げが適切だ」とより一層の金融緩和に含みを持たせた発言をしていますが、今回の利下げは、FRBの中でも意見が分かれた中での選択だったようです。

パウエル議長は、最近の雇用や消費が堅調、物価も上昇傾向の米国経済はそれ程悪くないとするFRB内の利下げ反対派と、株価上昇を意識するトランプ大統領はじめ市場からの緩和圧力からの板挟みで、今後の米国経済は「まだ景気拡大が続く」と「景気後退に突入する」のこの分岐点で、難しい政策運営をしなければならないのは間違いなさそうです。


18日は「景気後退まで余力を残さず、経済が弱まれば積極的に動く準備がある」とパウエル議長は追加緩和の可能性に言及。米国景気の拡大は戦後最長記録を更新し、ダウ工業平均株価も最高値を伺う中、貿易戦争による景気減速リスクに「予防的に動く」と2会合連続の利下げが実施されました。しかしこの決定、FOMC投票メンバー10名のうち3名が反対票を投じ、さらにうち2人は7月に続いて2会合連続で反対したようです。また逆に利下げ幅を0.5%に拡大すべきと主張する連銀総裁もおりFOMC参加者内でも意見が大きく割れています


記事にも、米国景気は分水嶺にあるとして、失業率が3%台、個人消費は堅調、消費者物価指数も2.4%上昇と1年ぶりの高い伸びと景気堅調な側面と、中国との貿易摩擦は企業業績を強く下押し、輸出や設備投資も大きくマイナスと、企業活動への悪影響によりもたらされる経済減速という負の側面、どちらに傾くか分からない分岐点かもしれないとあります。


今後やや濃厚なFRBのシナリオとしては、19年末までは利下げを見込む見方が強い印象(トランプ大統領や市場の圧力に負けそう・・・)ですが、更なる利下げには慎重論も根強くあります。米国企業の債務が膨大な規模に達し、既に2008年の金融危機時の水準まで高まっており、もし本格的な景気後退に突入する中で、利下げする余地がなくなってしまったとすれば、かなり深刻な経済不況になりかねないでしょう。


景気が折れてしまう前に利下げで「予防」したい、でも過度な「予防」はいずれ重症な病状になってしまう時に打つ手なし(もう利下げの余地なし)は避けたい、でも大統領や市場は株価が下がらないように口撃・プレッシャーをかけてくる・・・


FRBの迷いは今や米国経済だけではなく、世界経済全体の不安要素となり得ることから、まさに今年残り四半期・注目の経済イベントとなっています。

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