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世界の超富裕層も始めている「新・分散投資」の大切さ

2019/08/30日本経済新聞

『「四重奏運用」のススメ 株・債券・REIT・金で成果』より


日々の売買が非常に低調、為替の円高懸念、世界の経済局面の不透明感の中で、日本株の上値が重く動きがない。このような状況でこそ、基本に立ち返りバランス重視の分散投資効果を活かそうという動きが広がっているとあります。


先行きの方向感が定まらず身動きが取れない時こそ、長期の資産運用が可能な個人投資家にとってはポートフォリオを見直すチャンス。そもそも何のための資産運用なのか?何年くらい投資が可能なのか?どのくらいの損失が出たらそのダメージに我慢できなくなるのか?等々、自分の投資に対する志向や考えをじっくり整理することが重要です。

昨今、プロと言われる機関投資家でも、リスク管理手法である資産分散を大切にしているようですが、以前に比べその姿は少々変化しているような気がします。


先日も、スイスのPB系運用会社でのミーティングにご招待いただき、長期的(この会社では今後5年間を前提)な市場展望をお聞きする機会がありました。中でも年々各資産の期待リターンが低下してゆく中で、印象的だったのは、世界の超富裕層が着目しているのは「リアルアセット(そのもの自体に価値のある実物資産)」への投資です。具体的には不動産、インフラ、絵画、超高級車、ワイン、ストラディバリウス(バイオリン)、パテックフィリップ(時計)が挙げられ、供給量がなく希少性が高いモノに強い需要が集まっているとのこと。こうした「リアルアセット」は今やマイナス金利に地盤沈下している債券に代わる投資対象との位置づけのようです。


記事にて楽天証券のストラテジストは「全天候型の資産はない。リスクを補い合う投資を心がけるべき」と、4つの資産を組み合わせるカルテット(四重奏)運用を紹介しています。

このカルテット運用は、株式30%、債券25%、REIT(30%)とリアルアセットの金15%の四資産での分散投資することであり、過去約15年間で3倍程度のパフォーマンスを上げているようです。


この「分散投資」という概念は、従来から資産運用おいてとても大切なことと言われている王道のコンセプトですが、最近では特に「円高に備えて為替ヘッジをした方が良い」と、+アルファのひと工夫が必要となってきました。円高局面が続くと、日本企業の業績が減益予想となり日本株にも影響が波及するとの連鎖で「円高-日本株安」の連動性が急速に高まっています。円相場(対ドル)と日経平均が同じ方向に動く度合いを示す「相関係数(1.0に近いほど、連動して同じ方向に動く数値)」は今や0.7程度に到達

このマーケットの動きが無い不気味な静けさの中で、ひとたび弱気な雰囲気に一転して、急速な円高が進行する可能性も十分あります。


そういう事態を想定しながら、金や不動産等の「リアルアセット」を追加したり、為替ヘッジを行なったり、期待リターンが大きく低下した債券の位置づけを見直したりと、「新・分散投資の重要性」をお客さまとお話しすべき良い機会にしたいと思います。

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