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執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

企業業績減速下での米国株高の賞味期限

2019/07/17 日本経済新聞『米企業収益、減速一段と』より


米国企業収益が一段と悪化しており、主要500社の19年4-6月期純利益は前年同月比3%減少の見通し。1-3月期に続くマイナスとなり、16年以来3年ぶりの2四半期連続の減益となりそうです。日米貿易摩擦長期化の中で、需要減とコスト増などを通じて幅広い企業に悪影響が及び始めたとあります。一方の株価は最高値圏にあり、業績悪化での株高の行方は注視していきたいテーマです。15日から本格化した主要500社米国企業の4-6月期決算では、1-3月期(1%減)に続き減益見通しとなっています。同様に売上高の伸び率も鈍化するとの予想です。米中は6月下旬に首脳会談で協議再開の合意をし、一旦は米国による追加関税実施見送りで大きな摩擦は沈静化しているようなムードですが、包括合意はなされていないと、依然交渉の行方は不透明なままです。この状態が企業の景況感見通しを不確実にし、業績見通しの改善につながっていません。先行して決算発表している米国企業経営者の間でも、①世界的景気の鈍化、②ハイテク需要の減速、③輸入関税コスト増の影響3点に、懸念事項が集約できるとあります。

具体的な悪影響として、世界景気減速では、モノの荷動き鈍り航空物流部門に打撃となるフェデックス、需要減を見越して設備投資の計画を削減しているマイクロンテクノロジー等のハイテク大手輸入関税アップにより輸入コスト増は、これまで比較的堅調だった消費者による購買行動に近いビジネス小売りのコストコ、住宅大手レナーなど)にも懸念材料となります。


先行き見通しを厳しく見ている企業経営とは裏腹に、米国の株価は引き続き堅調を維持しており、NYダウは史上最高値を更新後、依然高値圏にあります。FRBは「米国経済は景気後退に陥っていないが、予防的な利下げ」をも実施して、経済の持続的成長を支えようと、まさに「金融緩和頼りきり相場」になっています。


この利下げによる経済浮揚にアクセル全開の状態でも、企業業績の悪化が意識されるようであれば、いよいよ米国株価の下落シナリオを想定しなければならない・・・とも思います。来年の米国大統領選から逆算してどのくらいの時期までなら「株高演出」が大切なのかも、企業業績先行き悪化の中での、この株高の賞味期限を考える材料かとも思います。

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