共同通信社 2023年3月経済ウイークリー
ライフセミナーQ&A
伝統的ポートフォリオは有効か?
Q.伝統的ポートフォリオは復活か?
A.最近、米国のメディアでは、
Sixty Forty(株式60:債券40)と言われる伝統的ポートフォリオの有効性が再び議論されています。
米国を中心に政策金利の引き上げや経済活動の正常化にともない、世界的に金利が復活、
リスク・リターンに応じて株式や債券への資産配分を行う
「分散投資」が再び有効なマーケット環境になってきたのでしょう。
従来から長期での資産運用において、
パフォーマンスの9割以上はどの資産にどの程度の割合で振り分けるかという
「資産配分」によって決定されるという研究報告もあります。
リスクを取ってリターンを狙う投資の成功要因とイメージされる銘柄選択や投資タイミングからは、
少々意外な結論ではないでしょうか。
実は私たちの将来の糧である国民年金・厚生年金など公的年金を運用する
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、
長期的にリスクを抑え安定的な収益をあげるべく資産配分を決定し、
規律を守って分散投資による資産運用をしています。
様々なリスク資産同士が高い連動性を示していた非常時とも言える経済環境を抜け出し、
ようやく各資産の特徴に見合ったリスク・リターンが提供される運用環境に戻りつつある今こそ、
銘柄とタイミングに賭けず、
リスクを抑えた長期・分散投資に徹するツマラナイながら
王道の投資セオリーを再考しても良い時かもしれません…
【参考文献】
Gary P. Brinson,L Randolph Hood and Gilbert L. Beebower, "Determinants of Portfolio Performance",
Financial Analysts Journal, July/August 1986
(資産運用アドバイザー 本橋竜一)
【掲載新聞名】
各地方新聞社紙面
資産運用・経済コーナー掲載