• RYUICHI MOTOHASHI

米国長期金利の上昇がもたらすリスク


2021/01/13日本経済新聞『米長期金利 上昇に勢い』より 米国で長期金利の上昇に勢いづいています。バイデン次期政権のもとでの財政拡大観測と物価が将来的に上昇するとの見方がマーケットで広がっているためです。 この金利上昇でドル安の歯止めになる兆しも出てきて、これまで比較的買われてきた金価格も下落に転じる局面も出てきて、米国の超低金利が資産市場や世界経済を支える構図が変化するかもしれないとあります。 1/11の米国債券市場で、10年物国債利回りは1.15%と約10カ月ぶりの高水準。バイデン次期政権は上院下院とも民主党が支配する見込みで、追加経済対策は大規模に打たれ、国債増発を見こす投資家は債券を売り、金利は上昇が進んでいます。 インフレも進むかもと観測も広がります。コロナ感染がワクチン普及で収束に向かえば、経済対策と金融緩和の効果が出て、需要回復となるシナリオを想定してのものでしょう。エコノミストの間では2021年後半から22年にかけ、物価上昇率が2%を超えるとの予測が増えてきているとあります。 物価連動国債の利回りから算出する今後10年の予想物価上昇率は2年2か月ぶりに年率2%を超えています。BOAの20年12月の調査では、市場を揺るがす最大リスクは24%の投資家が「インフレ」を上げ、「コロナ」(30%)に次ぐリスクと認識。インフレが実現すると、これまで株式などの資産市場の前提となってきた「低金利と金融緩和の長期化」が揺らぎます。 これまで買われた金とビットコインも売りが広がりっています。 金の国際指標のNY先物価格は11日に、1トロイオンス1810ドル台まで下落、1/6の高値1960ドル程度から150ドル(約7%)近く下落。 20年4月以降続いた為替のドル安にも歯止めがかかっており、ドル指数は5日連続で上昇。ドル安は基本シナリオとしつつも、金利上昇で一時的にドル安に歯止めとGSのコメントもありました。

もしドル高が進むとなると、コロナ禍で経済が脆弱になっている新興国に打撃となりうるとし、これはドル高→ドル建て債務の返済負担が増加、新興国からの資金流出→自国通貨の下落、インフレ加速・・・という、新興国経済にとってのいつものリスクが顕在化することを意味します。 米国FRBは長期金利上昇への懸念を示しておらず、現時点では追加緩和で金利押し下げの必要性があるとは判断していないようです。 とは言え急激な金利上昇は、回復しようとする景気や、高くなってきた株価への強い向かい風となり、経済回復が思い通りにいかなくなる可能性もあります。 FRBパウエル議長は強力な緩和を継続する意向で、23年末までゼロ金利政策を続ける方針としていますが、インフレ圧力が強まってくると、いつまでも金融緩和継続という訳にもいかなくなるので、やはり米国の長期金利、インフレ率の動きについては、今年いろいろな角度から考えていきたいと思います。

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