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海外勢で過熱する日本の不動産市場…

2020/01/29日本経済新聞『国内最大の不動産投資』

2020/01/30日本経済新聞『REITに逃避資金』より


米投資ファンドのブラックストーングループが、複数の日本の賃貸マンションを一括して

購入するとされ、その規模は約3000億円と過去最大級。


超低金利の資金調達コストを考えると、日本の不動産の利回りは世界的にはまだ高いと映るようです。


昨年より続いている海外勢による日本の不動産市場への投資姿勢はやや過熱感があり、長期保有というより短期での転売が活性化されるかもしれないと懸念されています。


海外勢による不動産購入は、日銀が異次元緩和を開始した13年頃から盛んになり、19年9月までの累計で約5兆円に達するとも言われています。また海外勢は投資家から資金を集めるファンドでの不動産取引が主体となっていて、自己資金による不動産開発が多い(勿論全てではありません)日本の不動産会社とは投資スタンスが違います。


金融環境に大きく依存する海外勢は最近のような低金利環境で、大口の資金集めが比較的容易となっているため、存在感が大きくなっています。


特にここ数年は顕著な印象で、記事でも19年末にウェスティンホテル東京を中国系ブライトルビーが1000億円で買収、同19年はドイツの大手保険会社アリアンツによる日本の賃貸マンション約80棟取得、少し前でも大手製薬会社の本社売却に複数の外資系投資ファンドが入札ともありました。


特に日本の不動産市場が魅力的に見える背景の一つは日本の金利状況で、海外勢の投資判断は投資利回りと調達金利の差としての「利回り差」に左右されています。つまり物件が多少高く、投資額が上がり利回りが低下しても、資金調達する借入れ金利が低ければ、その利回り差が合理的だと判断すれば、投資が実行されます

こうした海外勢の不動産=利回りの発想は金融的な思考です。


19年9月末時点での東京の主要オフィスビルの投資利回り差は2.8%、ニューヨーク2.3%、シンガポール1.8%等、世界の主要都市と比べても高めとなっています。


こうした投資マネーの不動産への流入が続くことから、知名度の高い主要都市圏のオフィス、賃貸マンションなどの不動産マーケットは過熱感があると記事は終わっています。



さらに1/30の紙面には「REITに退避資金」でも東証REIT指数が昨年12月初旬以来の高水準まで回復、新型肺炎の感染拡大が世界経済に伝播?との懸念される中で、国内外の機関投資家の資金の逃避流入先になっているようです。


グローバル経済や感染症拡大の影響を受けにくい資産=REITとの連想や、昨日の記事:海外投資家からの旺盛な不動産への投資需要からも投資資金が向っているようです。


しかし細かくみると、海外からの訪日外国人を多く受け止めるホテル関連REITは下落している銘柄も見られ、やはり選別が重要なところかなという印象は否めません。

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