• RYUICHI MOTOHASHI

景気拡大の延長戦で「堕天使債」が活況に…

2020/01/25日本経済新聞『堕天使債に資金流入』より


世界の低格付け債(ハイイールド債)の価格が上昇しています。投資適格債から格下げされた「フォールンエンジェル(堕天使)」などと呼ばれるハイイールド債を集めたETFにまとまった資金流入は、米中貿易摩擦の部分合意や世界の景気後退の懸念が薄れつつある中、「カネ余り運用難経済」で再度リスクを取り始めた投資家のリスク選好が伺える現象です。


話題になっている米国運用会社の「堕天使債券ETF」は先週1/16の日次で過去最高の約410億円の資金流入があった模様、純資産額も過去最高になったと言われます。

主な保有銘柄は米携帯大手スプリント(ソフトバンクG傘下)、アパレル大手のGAPといった堕天使債となっているようです。


国債から社債へリスクオンの投資姿勢を強めてきた資金はETFを経由して、ハイイールド債に流入していて、世界のハイイールド債の国債に対する上乗せ金利は1月下旬には3.52%まで低下して来ているとあります。


米運用会社の中には、米国ハイイールド債の中でも特に格付けが低いシングルBやトリプルC格の債券を買い増しした会社もあるとのこと。これは徐々に世界経済の拡大が続き、米国経済の景気後退入りの可能性が低下したと考えている投資家の見方だと思います。


ただ、米国経済の拡大は過去最長の11年目に入り、企業の債務もますます増大する中、クレジットサイクルも拡大から縮小に入ってもおかしくない時期で、本来は発行企業の財務体質が弱く、景気後退の影響が大きいハイイールド債券への投資は注意すべき時期なのですが。。。


これでもリスクを取る投資家は、まだまだクレジットサイクルは「延長戦」に入っていると考えているのでしょう。


この状態は、長引く低金利と金融緩和によるカネ余りがもたらす、投資家による過剰利回り追求行動の結果であることは間違いないと思います。


さらに記事では、多くの銘柄をパッケージにしたETFを通じたハイイールド債への資金流入で、個別の銘柄が実力以上に評価され割高になっているものもあるとされ、特に財務体質が弱く格付けが低いエネルギー関連企業やネット販売など競争環境が変わりやすい小売関連のハイイールド債には、特に注意しているという運用会社もありました。


一時の過剰な警戒からは少し楽観ムードが強くなり、投資マインド全体としてはややリスクに関して麻痺して来そうな印象が出て来ています。


こうした状況では株式も債券も個別企業をシッカリ調査する慎重さを再度認識したいと思います。

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