2019/07/14 日本経済新聞『米国高は最後の宴か』より
長短金利の逆転である「逆イールド」は景気後退のサインだとされますが、この金利状況下にも関わらず米国では株高が続いています。
本記事では過去60年において逆イールドが発生した後の株価の動きを見ると、米国株は平均29%の上昇をした後、景気後退と共に下落に向かうとあります。過去に何度も繰り返すこの「最後の宴」は今回も繰り返されるのでしょうか?株価の上昇はまだ止まらないという期待の声もある一方で、債券市場では長期の金利水準が短期金利を下回る「逆イールド」が定着しています。
現在3ヶ月物の米国債利回りは約2.14%、2年や5年物は1.8%台と、満期までの期間が長い債券の方が金利が低くなっています。この逆イールドの影響を受けるが銀行業界で、短期で資金調達を行い長期で貸し出すビジネスモデルは利ザヤ縮小に直結します。過去の長短金利逆転時期には、利ザヤを確保できなくなった金融機関が新規の企業融資に慎重となり、金融の目詰まりが景気後退につながっていきました。
金利に敏感な債券投資家は、景気の拡大局面が終盤に近いと判断すると、将来景気が減速した時に今と同じ利回りが得られないため、ある程度の低金利でも現時点での債券に投資を行います。米国景気拡大はこの7月に11年目に入り、いつ減速へ転換しても不思議ではありません。2019年に入り3ヶ月物の米国債だけでなく、6ヶ月物や1年物も、一時10年物国債と利回りが逆転、市場では最も注目される2年債と10年債の利回り差も0.28%しかなく、逆イールド状態が迫っています。
過去にも「逆イールド下の株高」は繰り返されており、スイスUBSの分析では、株価は逆イールド発生後はむしろ上昇をしてきたとあります。1960年以降、10年債と2年債の利回り差がなくなった局面は大きく分けて6回あり、その時点から米国株価は高値まで平均29%上昇、「逆イールドは景気が実際に悪化する前に、利上げ打ち止めや利下げ期待感が高まった段階で発生する」と指摘されています。2年債と10年債で逆イールドが発生してから景気後退に至るまでの期間は平均1年9か月であり、この間、市場は金利低下によるカネ余り状態と楽観ムードが高まりやすくなります。
この状態、日本のおける89年のバブル期に逆イールドが発生し、その後は株価暴落と深刻な景気後退が生じたのは誰もが知るところです。
現在の米国における逆イールド下での株高は、またあのバブルを生みだしてしまうか?
繰り返されるデジャヴは、米国NYダウ最高値更新にみる楽観論の裏に潜んでいるのか、
目下の私の悩みの種の一つです・・・
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