2019/08/07 日本経済新聞 『高リスク資産 避けるマネー』より
ここ数日の急激なマーケットの変動は、米中対立が泥沼化かつ長期化することによって、
世界経済の不透明感が一気に台頭してきたことを連想した結果ではないでしょうか?
そのような中で本日の紙面には、各資産に関する投資家からの反応が散見されています。これまでリスクを取っていた世界の余剰投資マネーの代表格は新興国株や債券ですが、昨今の変動で大きく下落し、新興国の信用力指標は悪化が目立っています。投資マネーのリスク回避志向は特に対外債務や外貨準備といった国の信用力に不安を抱える国からの資金流出を誘い、為替水準の急激な変動や債務負担の上昇を通じて、悪循環になりかねないとの懸念も強くなります。
時々トピックになりますこの債務の膨張は先進国も同様で、欧米のトリプルB格の社債発行残高は、ここ10年で4倍にまで膨らんでいます。より格付けが低い「ハイイールド債」からは資金流出傾向となっており、金利上乗せ幅は4.5%程度と、2ヵ月ぶりの水準にまで拡大してきました。一方で安全資産には資金が流入しており、米国10年国債は利回りが1.7%台まで低下し、短期金利が長期金利を上回る「逆イールド」が拡大してきました。逆イールドは先行き不安心理が高まると起きやすく、景気拡大期が過去最長を記録している米国には「異変」の予兆かもしれないとも。。。
さらに「より安全資産の金」にも、資金流入が加速しており、国内の地金小売価格は約40年ぶりの高値となっています。この金利がつかない資産である「金」が輝くようになった理由は、これまで脚光を集めた様々なリスク資産への投資家からの懸念と米国FRBの金利下げの動きに他なりません。
投資家からの消極的な選好先の代表資産と言えば、REITも忘れてはなりません。これも継続的な定点観測をしておりますが、東証REIT指数も11年10ヵ月ぶりの高値、この理由も超低金利下での相対的に高い利回り(約3.7%)が期待できるからのようです。
リスクを取った運用資産が一時的ながら「ほぼ全敗」となる中で、利回りが良いからと投資マネーが殺到すると危険であることは、これまで繰り返されてきた市場の性です。
ただ、そんな中で避けられる地雷は極力避けたい!と感じるのは、投資家のお客さまだけでなく、アドバイザーである私も同様なのです・・・
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