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ジャンク債も〇〇が買う!世界中で社債発行が最高に…

2020/05/21日本経済新聞『世界の社債発行 最高に』より

世界の企業が社債発行による資金調達を増やしており、20年4月の発行額67兆5000億円と過去最高を更新したとあります。

日米欧の中央銀行は企業の資金繰り支援策として社債購入を拡大しており、日銀も20日には初めて満期まで残り5年の社債を買い入れました。多くの企業では、売り上げが急激に減少して苦境の最中でも、調達コストが大きく上がらずに資金確保が出来ていることになります。

世界の主要企業役14,000社(QUICKファクトセット集計)の3月末の有利子負債は約38兆ドルと、1年間で2.7兆ドル増加、4月の発行額は主要企業の過去1年の増加分の2割超にあたると推計されています。

大量の社債発行は中央銀行による「資金繰り支援策」が支えています。欧州ECBは計7500億ユーロの資産追加購入、中国でも4月の発行額が1497億ドルと3月比で2.2倍となっています。社債市場が大きな米国は、FRBが3月下旬以降に投資適格債から投機的等級に格下げされた「堕天使債」まで買入対象にするとしました。3月発行額は、2368億ドルと過去最高、5月も19日までで1673億ドルと3月を上回るペースとなっています。

日本は銀行融資が多く社債市場が小さいのですが、日銀が社債購入を広げています。20日に初めて残存期間3-5年の社債を2001億円購入、コロナ禍での外出・移動の自粛により業績悪化のANAHDや三越伊勢丹HD社債も対象となったようです。

20日までに発行条件が確定した日本企業の国内発行社債は5050億円と前年同期比で4割も増加しています。

大半の各国の企業では安定して社債による調達が可能なようですが、中央銀行の対応によっては利回りに差が出ているようです。


米国で3月以降に投機的等級に格下げされても、FRBの買入れ対象となっている(つまり堕天使債)デルタ航空は4月の社債発行条件は利回り7%で35億ドルを調達。一方コロナ以前から投機的等級のユナイテッド航空(つまりもともとジャンク債)は投資家から敬遠され、22.5億ドルの起債を中止せざるをえなくなりました。この両社は流通市場での国債への上乗せ金利でも差が出ており、デルタの24年償還の社債の2月末比で1%から10%への上昇にとどまる一方、ユナイテッドは同条件で4%から22%までに上昇していることからも、FRBの買い入れ対象の社債か否かで、投資家のからの選好が伺えます

これは日本でも同様の雰囲気があり、格付けダブルB(S&Pグローバルレーティング)で、日銀の買い入れ対象ではない、ソフトバンクGの上乗せ金利は、24年償還の社債で3.7%と2月末の1.7%と比べても大きくなってきています。

3月の経済混乱・市場の緊張が極めて高まった時に、中央銀行が膨大な資金を使って、企業の資金繰り破綻は避ける支援策を早急に打ち出したことは、とても良かったと思います。

しかしいつまでも「中央銀行に逆らうな」教訓を拡大解釈しての、「中央銀行が買うから大丈夫」の投資家のスタンスはちょっと怖い投資行動のような気がします。

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